「生成AI基盤モデルとAI製品における競争に関する共同声明」の公表
(欧州委員会競争総局、米国司法省反トラスト局等)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 後 藤 未 来
弁護士 新 藤 友 理
1 はじめに
2024年7月23日、欧州委員会競争総局(Directorate-General for Competition)、英国競争・市場庁(以下「CMA」という。)、米国司法省反トラスト局(以下「DOJ」という。)および米国連邦取引委員会(以下「FTC」といい、これらの競争当局を総称して「欧英米競争当局」という。)は、「生成AI基盤モデルとAI製品における競争に関する共同声明」[1](以下「本共同声明」という。)を公表した。AIをめぐっては、イノベーションを促進して経済成長をもたらすといった潜在的な利益が期待される一方で、消費者や事業者に対するリスクが国境を越えて顕在化するおそれが指摘されている。
そこで、本共同声明は、AI関連技術の市場における競争環境を確保し、公正で開かれた市場とすることがイノベーション促進等の一助になるとの認識の下、AIをめぐる問題についての理解を欧英米競争当局間で共有し、必要に応じてその権限を行使すること等を確認している。本稿では、本共同声明の概要を紹介する。
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(ごとう・みき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。
(しんどう・ゆり)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2008年同志社大学法学部卒業。2011年早稲田大学法科大学院卒業。2017年弁護士登録(第一東京弁護士会)。内閣官房デジタル市場競争本部事務局および公正取引委員会へ出向し、「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」の立法作業に従事(2022年6月~2024年6月)。独占禁止法・競争法を中心に執務。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。
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