経団連「経済安全保障法制に関する意見
―有識者会議提言を踏まえて―」を公表
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業
弁護士 松 本 拓
弁護士 後 藤 大 智
1 はじめに
2022年2月9日、一般社団法人日本経済団体連合会(以下「経団連」という。)より、経済安全保障法制に関する有識者会議(以下「有識者会議」という。)による同年2月1日付「経済安全保障法制に関する提言」(以下「有識者会議提言」という。)[1]に対する意見(以下「経団連意見」という。)[2]が公表された。
有識者会議は、経済安全保障を最重要課題の一つに掲げる岸田内閣が、経済安全保障法制に対する専門的見地からの検討を行うため2021年11月下旬に発足させたものであり、有識者会議提言は2022年通常国会に提出される予定の経済安全保障推進法案の策定にあたり骨子と位置付けられることが予想される。本記事では、有識者会議提言に対する民間からの応答として重要な意義を有する経団連意見の内容を概説する。
なお、有識者会議提言に先だって公表された有識者会議提言の骨子の概説については、本重要ニュース速報「SH3894 有識者会議による経済安全保障法制に関する提言骨子の公表 松本拓/後藤大智(2022/02/01)」を参照されたい。
2 経団連意見の概要
近年の国際的な動向を踏まえ、経済安全保障について以下の4分野の法制化が特に必要であるとの考えから、有識者会議提言では、当該4分野それぞれについて提言が行われている。
- サプライチェーンの強靭化
- 基幹インフラの安全性・信頼性の確保
- 官民技術協力
- 特許出願の非公開化
経団連意見は、①経済安全保障法制全体に関する意見、②上記4分野それぞれに関する意見、そして③上記4分野に並行して検討・推進すべき施策に関する意見から構成されている。以下、それぞれにつき概観する。
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(まつもと・たく)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー(弁護士・ニューヨーク州弁護士)。主要な業務分野は、①M&A・投資、②アウトバウンド・インバウンド、③スタートアップ法務・投資、④経済安全保障・通商、⑤ウェルス・マネジメント及び⑥競争法関連。2012年インドネシアのSSEK法律事務所勤務、2016年コロンビア大学・ロースクール(LLM)修了、2016年~2017年米国のSeward & Kissel法律事務所勤務。https://www.amt-law.com/professionals/profile/TUM
(ごとう・だいち)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業アソシエイト。2016年東京大学法学部卒業。2018年東京大学法科大学院卒業。2019年弁護士登録(第二東京弁護士会)。ファイナンス、資源・エネルギー法務、通商法務等を取扱う。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
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アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。
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