特許法102条の損害額の推定に関する知財高裁判決
(知財高判令和6年4月24日)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士・弁理士 後 藤 未 来
弁護士 前 田 康 熙
1 はじめに
特許権侵害による損害額の計算については、2020年4月施行の法改正に加え、2020年および2022年に相次いで大合議判決が出されるなど、近年の実務の発展・動向が特に注目される分野の1つである。
本稿では、特許権侵害による損害額の計算、特に特許法102条に基づく計算を巡って、注目される判断を示した知財高裁判決(知財高判令和6年4月24日、令和5年(ネ)第10052号、第10080号、令和6年(ネ)第10002号[1])を紹介する。同判決は、特許法102条の定める損害額の推定規定について、①同条1項・2項の適用を否定した地裁判決を破棄し、同条項の適用を認めるとともに、②地裁でも適用が認められていた同条3項により推定される損害額を変更する判決(以下、「本知財高裁判決」という。)を示したものである。
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(ごとう・みき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。
(まえだ・こうき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2020年東京大学法学部卒業。2022年東京大学法科大学院卒業。2023年弁護士登録(第一東京弁護士会)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
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