「電気通信番号の犯罪利用対策に関するワーキンググループ」
報告書案の公表
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 井 上 乾 介
弁護士 吉 田 崇 裕
弁護士 小 倉 輝 洋
1 はじめに
電気通信設備や役務を識別する電気通信番号(電話番号)は、国際ルールに基づく制約がある有限な資源であり、日本では総務省が管理し、電気通信事業者に指定していた。モバイル化やIoTの進展による番号需要の増大に伴い、令和元年に、電気通信番号制度を電気通信番号を使用する電気通信事業者に拡大し、番号使用計画の認定申請制度を導入する電気通信事業法(以下「法」という。)が施行された。[1]
その後、約5年が経過し、電気通信番号が特殊詐欺等の犯罪等に悪用され、番号使用計画の認定を受けた事業者が特殊詐欺に関与して実刑判決にまで至る等、制度を見直す必要が生じていた。
総務省は「電気通信番号の犯罪利用対策に関するワーキンググループ」(以下「本WG」という。)において検討を行い、令和6年9月3日に「WG報告書(案)~電気通信番号の犯罪利用への対策~」[2](以下「報告書案」という。)を公表した。
本稿では、報告書案において取りまとめられた議論の状況を概説する。
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(いのうえ・けんすけ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 スペシャル・カウンセル。2004年一橋大学法学部卒業。2007年慶応義塾大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(東京弁護士会)。2016年カリフォルニア大学バークレー校・ロースクール(LL.M.)修了。2017年カリフォルニア州弁護士登録。著作権法をはじめとする知的財産法、個人情報保護法をはじめとする各国データ保護法を専門とする。
(よしだ・たかひろ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2018年東京大学工学部卒業。2020年東京大学大学院情報理工学系研究科数理情報学専攻修士課程修了。2022年弁護士登録(第二東京弁護士会)。
(おぐら・てるひろ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2022年慶應義塾大学文学部卒業。AI・ロボティクススタートアップ企業勤務。2023年弁護士登録(東京弁護士会)。REIT・倒産事業再生・テレコム・スタートアップ等を取り扱う。
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