OECD・国連、世界的なAIガバナンスに関する協力関係の強化を発表
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士・ニューヨーク州弁護士 後 藤 未 来
ニューサウスウェールズ州弁護士・上海オフィス顧問 石 瀛
1 はじめに
2024年9月、ニューヨークで開催された「未来サミット」の場で、経済協力開発機構(以下「OECD」という。)と国際連合(以下「国連」という。)は、人工知能(AI)のグローバルガバナンスに関する協力強化を発表した[1]。この新たな協力関係は、科学と証拠に基づいてAIのリスクと機会を評価することに焦点を当て、両機関の専門知識やネットワークを活かし、加盟国や他の関係者を支援することを目的としている。
OECDや国連は直接的に法的拘束力を持つ規制を行う機関ではないものの、そのガイドラインや勧告は加盟国の政策に実質的な影響を与え得る。また、AI技術の開発が進んでいない発展途上国等は、他国が開発したAI技術を利用するに際し、場合によっては自国の利益に合わない規制や技術に依存せざるを得ない状況に直面する場合があり得るところ、OECDや国連は、こうした国々にとって、自国の利益や特有の課題を国際的なAIガバナンスに反映させる重要な機会を提供している。本稿では、OECDと国連のAIガバナンスにおける取組みを整理・概観した上で、今般の協力関係の強化の影響を展望する。
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(ごとう・みき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。
(せき・いん)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2019年オーストラリアニューサウスウェールズ大学法学部卒業。2019年ニューサウスウェールズ州事務弁護士登録。2020年中国法律職業資格取得。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。
<連絡先>
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* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用