SH3730 個人情報委、個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(匿名加工情報編)&パブコメ結果 中崎尚(2021/08/26)

取引法務個人情報保護法

個人情報委、個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン
(匿名加工情報編)&パブコメ結果

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業

弁護士 中 崎   尚

 

1 はじめに

 個人情報保護委員会は、2021年8月2日、「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(匿名加工情報編)の一部を改正する告示」を行い、同ガイドラインの改正案に寄せられたパブリックコメントの募集結果を公表した。本稿では、ガイドラインで明らかになった事項を、パブリックコメントの募集結果を踏まえて紹介する。

 

2 ガイドラインの改正と意見募集結果の概要

 今回の改正によるガイドラインの最大の変化は、これまで「(匿名加工情報編)」だったのが、仮名加工情報の制度が2022年4月1日の改正法施行で新たに導入されるのに伴い、「(仮名加工情報・匿名加工情報編)」に変更された点である。これにより、全26ページのガイドラインが、全53ページとほぼ倍増することになった。パブリックコメントの募集結果も、全部で82項目提出された意見のうち、仮名加工情報編についての意見が大半を占めることとなった。

 

3 仮名加工情報と匿名加工情報の差異

 今回の改正では、仮名加工情報とは「個人情報の記述等の一部や個人識別符号の全部を削除・置き換えをすることで、他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないように加工した情報」と定義された(改正法第2条第9号)。たとえば、単発IDと1回の買い物履歴等が想定されている。そして、個人情報と同様に、特定の仮名加工情報を検索できるように、コンピューターを用いて体系的に構成したもの等を事業のために利用している事業者は、仮名加工情報取扱事業者(改正法第2条第10号)として、一定の義務を負うこととなる。この義務は、匿名加工情報取扱事業者が匿名加工情報に対して負う義務と類似しており、仮名加工情報を本人識別のために他の情報と照合したり、コンタクトをとるために仮名加工情報に含まれる連絡先等を利用したりすることが禁じられている(改正法第35条の2第7項および第8項、第35条の3第3項)。

この記事はプレミアム向け有料記事です
ログインしてご覧ください


(なかざき・たかし)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業スペシャルカウンセル。東京大学法学部卒、2001年弁護士登録(54期)、2008年米国Columbia University School of Law (LL.M.)修了、2009年夏まで米国ワシントンD.C.のArnold & Porter法律事務所に勤務。復帰後は、インターネット・IT・システム関連を中心に、データプライバシー・コンプライアンスのサポート、データビジネス支援引を幅広く取扱う。政府ガイドラインの作成・改正に携わったほか、ヘルスケア、ファイナンス、各種コンシューマービジネスを始め国内外のクライアントに対し多数の案件についてアドバイスを行う。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。

<連絡先>
〒100-8136 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング

 

タイトルとURLをコピーしました