金融庁・経済産業省、「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項」 の公表
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 佐 橋 雄 介
弁護士 福 山 和 貴
1 はじめに
金融庁と経済産業省の共催により、「ベンチャーキャピタルに関する有識者会議」が開催され、2024年4月から計3回にわたり議論が行われた。その議論等を踏まえ、2024年7月4日に「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項」(案)が取りまとめられ、一般に対する意見募集を経て、2024年10月17日、「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項」[1](以下「本事項」という。)が最終化され、公表された。
本事項は下図のとおり、ファンドへの投資者(リミテッドパートナー)(以下「LP」という。)およびファンド運営管理者(ゼネラルパートナー)(以下「GP」という。)における推奨・期待される事項を定めることにより、ベンチャーキャピタル(以下「VC」という。)のガバナンス等が向上することで、国内外の機関投資家の資金が円滑に供給され、スタートアップへの全般的な出資機能が強化され、ひいてはスタートアップエコシステムの進化のため策定されたものである。本事項がLPおよびGPが関与する実務に影響を及ぼし得ると考えられることから、本稿では、本事項の概要を紹介する。
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(さはし・ゆうすけ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2006年東京大学法学部卒業。2008年弁護士登録。2015年University of Southern California(LL.M.)修了。2015-2016年フランスのMcDermott Will & Emery法律事務所勤務。2016年ニューヨーク州弁護士登録。日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)。主に国内外の企業買収、組織再編、ジョイントベンチャー等のM&A案件や一般企業法務、商取引等のコーポレート案件を取り扱っている。
(ふくやま・かずき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。一橋大学法学部・一橋大学法科大学院卒業。2022年弁護士登録(第一東京弁護士会)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
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