SH5203 政府税調「経済社会のデジタル化への対応と納税環境整備に関する専門家会合」の初会合が開催――「デジタルシームレス」構築に向けた検討など、総会審議の「素材を整理」へ(2024/11/20)

組織法務監査・会計・税務

政府税調「経済社会のデジタル化への対応と納税環境整備に関する専門家会合」の初会合が開催
――「デジタルシームレス」構築に向けた検討など、総会審議の「素材を整理」へ――

 

 政府の税制調査会(会長・翁百合 株式会社日本総合研究所理事長)が設置した「経済社会のデジタル化への対応と納税環境整備に関する専門家会合」(座長・岡村忠生 京都大学名誉教授、税制調査会特別委員)の初会合が11月13日、開催された。

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 税制調査会の6月4日開催・第3回総会において「税制のEBPMに関する専門家会合」「活力ある長寿社会に向けたライフコースに中立な税制に関する専門家会合」とともにその設置が了承、座長が指名されていた。今般初会合を開いた「経済社会のデジタル化への対応と納税環境整備に関する専門家会合」のメンバーは座長を含む大学・大学院教授ら5名を始めとする総勢9名の税制調査会委員および特別委員により構成される。他に大学・大学院教授、法律実務家ら計6名の外部有識者が参画。税制調査会会長の6月4日会見では、3つの専門家会合においてそれぞれ議論がなされたうえ「都度、総会に御報告をいただく。総会は総会での議論もあるかもしれませんが、まとまったところで適宜御報告していただき、総会でもしっかり議論するということを考えて」いると表明された。

 税制調査会では従前から「税務手続や適正・公平な課税・徴収のあり方」をテーマとする審議を行ってきたところ、本専門家会合では「経済社会のデジタル化を踏まえた税務・税制のあり方」を加えた審議を行い、今後の総会に向け、議論の素材を整理する。デジタル技術の急速な発展により経済活動におけるデジタル・トランスフォーメーション(DX)が今後も生じていくと考えられることが背景にあり、財務省・国税庁・総務省の「経済社会のデジタル化への対応と納税環境整備」「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション」「地方税における税務手続のデジタル化」における各分野の問題意識は第3回総会で取りまとめて示されたところであった。

 「経済社会のデジタル化への対応と納税環境整備に関する専門家会合」の初会合における議事として(A)OECDにおける税務行政に関する議論、(B)事業者の取引から会計・税務までのデジタル化の現状等、(C)税に対する公平感を大きく損なうような行為への対応、(D)資料情報等の活用、(E)国境を越えたEC取引に係る適正な課税に向けた課題――の5点が挙げられた。会合資料としては(α)財務省から「説明資料〔税務手続のデジタル化〕」が、(β)国税庁から「説明資料〔税に対する公平感を大きく損なうような行為への対応〕」がそれぞれ提示。

 たとえば、上記(A)はOECDにおける議論の方向性について「トレンドの変化」から説明するもので、デジタル化に伴って事業者(納税者)の日常の取引・業務に税務が組み込まれることにより、大きな事務負担を生じさせることなく透明性・信頼性が高い納税プロセスを実現するという考え方について、OECD報告書に基づく税務行政のDXの将来像を示す。

 続く(B)を巡っては、第3回総会で掲げた「社会全体及び税務関連情報のデジタル化」について「デジタルシームレス」といった語を補足したうえで「デジタルシームレスのイメージ」を具体化(上記・資料(α)9頁以下参照)。事業者のデジタル化に向けた課題について(1)送信者側の課題、(2)共通の課題、(3)受信者側の課題を挙げ、(1)および(3)とし、それぞれの取引先におけるデジタルデータの受入れ・発行に係る問題を指摘するとともに、(2)では①書面が併存する場合には効率化メリットが小さい、②社内の業務フローの見直しが必要、③社内のデジタル人材の不足といった課題を取り上げた(資料(α)11頁参照)。

 そのうえで、社会全体としてデジタルシームレスを構築するに当たっての取組みなどを(1)現状と短期的な検討、(2)中期的な取組み・検討といった観点から整理。(2)に係る取組みを巡っては税制上望ましいデジタル化の姿を明確にしたうえで税務当局を始めとする関係機関・団体が連携して取り組んでいくことが考えられるとし、たとえば、①事業者の事務効率化等、②税理士・支援機関による相談対応や支援の高度化、③税務コンプライアンスの向上効果、④望ましいデータの規格や連携方法――の効果などを確認していくとしている(資料(α)13頁参照)。


内閣府、経済社会のデジタル化への対応と納税環境整備に関する専門家会合(第1回)資料〔取引から会計・税務までのデジタル化(デジタルシームレス)についてほか〕
https://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/digital-noukan/2024/6digital-noukan1kai.html

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