2025年における経済安全保障法制の整備に係る最新動向
――第11回経済安全保障法制に関する有識者会議――
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 松 本 拓
弁護士 鈴 木 潤
弁護士 石 川 雅 人
1 はじめに
2024年12月24日、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律[1](令和4年法律第43号。以下「経済安全保障推進法」または単に「法」という。)の施行や改正に係る議論を行う、経済安全保障法制に関する有識者会議(以下「有識者会議」という。)(第11回)が開催された。当該会議においては、①基幹インフラ制度への医療分野の追加、②既指定の特定重要物資に係る支援対象の拡充、③特別特定重要物資の安定供給確保のためのGOCO(国設施設民間操業)スキームなど、2025年における経済安全保障法制の整備に係る動向を占う上で重要な議題について議論がされた。
本稿では、第11回有識者会議における上記①から③までの議論のポイントや今後事業者に求められる対応について説明する。
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(まつもと・たく)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー(弁護士・ニューヨーク州弁護士)。主要な業務分野は,①M&A・投資,②経済安全保障・通商,③アウトバウンド・インバウンド,④スタートアップ法務・投資,⑤ウェルス・マネジメント及び⑥競争法関連。2012年インドネシアのSSEK法律事務所勤務,2016年コロンビア大学・ロースクール(LL.M.)修了,2016年~2017年米国のSeward & Kissel法律事務所勤務。https://www.amt-law.com/professionals/profile/TUM
(すずき・じゅん)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所スペシャル・カウンセル。2004年慶應義塾大学法学部卒業。2006年立命館大学法科大学院卒業。2009年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2015年米国ジョージ・ワシントン大学ロースクール(LL.M.)修了。2017年ニューヨーク州弁護士登録。2024年7月まで2年間、外務省総合外交政策局経済安全保障政策室において、経済安全保障推進法、外為法、重要土地等調査法、重要経済安保情報保護活用法等の設計や運用にかかる体制整備等を担当。それ以前は、日系事業会社の本社及び米国グループ会社の法務部において経済安全保障部門の立ち上げに関与した他、グループ全体の経済安全保障に関するコンプライアンス体制の整備、投資案件等の個別案件を担当。
(いしかわ・まさと)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2010年東京大学法学部卒業。2010年警察庁入庁(~2021年)。2017年京都府警察本部警備部外事課長。2022年弁護士登録(第一東京弁護士会)。危機管理・不正調査、経済安全保障等を取り扱う。主な著書・論文:「SH4956 経済安保情報保護法および改正経済安全保障推進法の成立」(商事法務ポータル、2024)、「重要経済安保情報保護活用諮問会議の開催」(商事法務ポータル、2024)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。
<連絡先>
〒100-8136 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング
* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用