株式報酬に係る開示規制の見直し
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 齋 藤 宏 一
弁護士 早 瀨 孝 広
弁護士 津 江 紘 輝
1 改正の全体像
2024年11月26日、金融庁は、「『金融商品取引法施行令の一部を改正する政令(案)』等の公表について(スタートアップへの資金供給の促進関係)」と題して、金融商品取引法施行令等の改正案を公表し、パブリックコメントの募集を開始した。これは、2023年12月に公表された金融審議会「市場制度ワーキング・グループ・資産運用に関するタスクフォース報告書」(以下「TF報告書」という。)において、事後交付型株式報酬について、現行実務上、情報開示のタイミングや開示書類に差異が見られ、開示規制の解釈をめぐる企業の実務が安定していないことから導入しづらいとの指摘に対し、その対応方針として、事後交付型株式報酬に係る開示規制の明確化や、有価証券届出書に代えて臨時報告書の提出で足りるとする特例(以下「臨報特例」という。)の拡大等を提言していたことを踏まえたものである[1]。
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(さいとう・こういち)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。1999年東京大学法学部卒業。2001年弁護士登録(第一東京)。2008年ハーバード・ロースクール(LL.M.)修了、2008-2009年ハーバード・ロースクール客員研究員。2009年ニューヨーク州弁護士登録。コーポレートガバナンス、株主総会やインセンティブ(株式)報酬制度(特にグローバルベースのもの)の設計・導入・運用に関連する数多くの企業からの相談に対応している。
(はやせ・たかひろ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2009年早稲田大学大学院法務研究科修了。2010年弁護士登録(第二東京)。2017年ハーバード・ロースクール(LL.M.)修了、2017-2018年米国Pillsbury Winthrop Shaw Pittman法律事務所(ロサンゼルス)勤務。2018年ニューヨーク州弁護士登録。国内及びグローバルのインセンティブ報酬の導入・運用等を含むコーポレート案件を中心に取り扱う。
(つえ・ひろき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2015年東京大学法学部卒業。2017年3月東京大学法科大学院卒業。2019年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2022年7月から2024年3月まで金融庁企画市場局市場課にて勤務し(課長補佐)、令和5年及び令和6年の金融商品取引法等の改正などに携わる。2024年4月に前記法律事務所に帰任。金融規制法、情報法、税務をはじめ、一般企業法務を広く取り扱う。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。
<連絡先>
〒100-8136 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング
* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用