シンガポール:職場における差別的取扱いから従業員を保護するための新法案(Workplace Fairness Bill)について(上)
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 金 田 聡
1 はじめに
2024年11月12日に、シンガポールにおいて、職場における差別的取扱いから従業員を保護するための新法案(Workplace Fairness Bill:職場公平法案)が国会に提出された。これまで、職場における従業員の公平な取扱いの確保に関して、シンガポールでは、2007年に、公平な雇用のための原則及び当該原則に基づくあるべき実務を定めたガイドライン(Tripartite Guidelines on Fair Employment Practices:公平ガイドライン)が策定され、現状は、同ガイドラインに則り各社において実務的な対応が行われている。国会での審議の結果として職場公平法案が法律として制定された場合は、これまでのシンガポールにおける雇用実務に加えて追加で必要となり得る対応も存在することから、本稿では、職場公平法案の概要を紹介するとともに、今後の見通しについて触れることとしたい。
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(かねだ・さとし)
長島・大野・常松法律事務所シンガポールオフィス所属。2012年京都大学法学部卒業、2014年京都大学法科大学院修了、2015年長島・大野・常松法律事務所入所。その後、2022年University of Pennsylvania Law School修了(LL.M. with Wharton Business & Law Certificate)、Shearman & Sterling LLP(NY)勤務を経て、2023年10月よりシンガポールオフィス勤務。入所以来、M&A・企業組織再編に携わっており、現在は、アジア地域を中心とするクロスボーダーM&A・ジョイントベンチャー案件その他国際企業法務に広く従事している。
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