SH5387 「『2030年度に向けた政府の中長期計画』の進捗状況と次期『総合物流施策大綱』の策定に向けた対応」の公表――物流関連の法改正等に関する近時の動向について 寺﨑玄/山田智希(2025/04/04)

取引法務競争法(独禁法)・下請法業法・規制法対応

「『2030年度に向けた政府の中長期計画』の進捗状況と次期『総合物流施策大綱』の策定に向けた対応」の公表
――物流関連の法改正等に関する近時の動向について――

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 寺 﨑   玄

弁護士 山 田 智 希

 

1 はじめに

 物流は、時代を問わずわれわれの日常生活や経済活動を支える重要な社会インフラでありながら、特にここ数年、コロナ禍以降のEコマースの急拡大、物流の担い手不足(特に、労働法制の変化を背景とする「2024年問題」)、カーボンニュートラルといった様々な現代的課題に直面している。官民の多様な当事者が連携することにより、物流業界の構造的改革を推し進めることが、喫緊の社会課題とされている。

 政府は、1997年以降、概ね4年ごとに総合物流施策大綱(以下、単に「大綱」という。)を策定し、時代に応じた物流に資する施策のロードマップを公表している。現在の大綱の対象期間は2021年から2025年までであり[1]、上記のような課題への対応を念頭に、次期大綱の策定に向けた作業が進められている。これと並行し、上記の喫緊の課題への対応を目的として、閣議決定に基づき、2023年以降、関連省庁の大臣が参加する「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」(以下「本閣僚会議」という。)が開催されている。同会議は、2024年2月16日に「2030年度に向けた政府の中長期計画」(以下「本計画」という。)を公表するなどして、省庁横断による課題解決に向けた方向性を示してきた。

 今般、2025年3月14日に開催された第6回本閣僚会議において、「『2030年度に向けた政府の中長期計画』の進捗状況と次期『総合物流施策大綱』の策定に向けた対応」と題する資料(以下「本資料」という。)が公表された。本資料は、本計画を踏まえた法令改正や各種施策の進捗状況を振り返るとともに、次期の大綱の策定に向けた今後の施策の方向性が示されている。

 物流をめぐる現代的課題への対応は、幅広い法令や制度の改正を伴うものであり、それらを網羅的に逐次フォローすることは必ずしも容易ではないところ、本資料は、そうした改正等に関する直近の動向や今後の方向性を整理した資料として、物流業に従事する者だけでなく物流を利用する者(事業者・消費者)全般にとって大変有用であるように思われる。そこで、本稿では、本資料の内容について、特に法令改正等に関する近時の動向や今後の展開に関係する部分を中心に概観することとしたい。

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(てらざき・まこと)


アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2004年東京大学法学部卒業。2006年東京大学法科大学院卒業。2007年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2008年10月~2010年3月東京大学法科大学院非常勤講師。2011年12月~2013年6月国土交通省航空局に出向。主要な業務分野はPFI/PPPを含むプロジェクトファイナンス、物流・建設関係業務、経済安全保障・通商、不動産関連業務、M&A等。

 

(やまだ・ともき)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所シニア・アソシエイト。2017年東京大学法学部卒業。文部科学省勤務を経て、2018年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2024年英国King’s College London, University of London (LL.M.)。コーポレートガバナンス・グローバルコンプライアンス、国内外のM&A・組織再編のほか、航空宇宙、海事、物流、交通、建設、教育、ヘルスケアをはじめとする幅広い産業分野における法的サポートを提供している。地方自治体関連案件にも積極的に取り組んでいる。

 

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。

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* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用

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