EDPB、AIモデルの開発とデプロイにおける
個人データの使用に関する意見を公表
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 後 藤 未 来
弁護士 前 田 康 熙
1 はじめに
欧州データ保護会議(以下「EDPB」という。)は、AIモデルの開発とデプロイにおける個人データの使用に関する意見(Opinion 28/2024 on certain data protection aspects related to the processing of personal data in the context of AI models:以下「本意見」という。)を公表した[1]。
本意見は、EU一般データ保護規則(以下「GDPR」という。)64条2項に基づき欧州全体の規制調和を求める観点からなされた、アイルランドの監督当局による質問に対する回答として公表された。質問の概要は以下のとおりである。
⑴ いつ、どのようにAIモデルを匿名とみなすことができるのか? |
⑵ AIモデルの開発段階およびデプロイ段階において管理者は法的根拠としての「正当な利益(legitimate interest)[2]」の適切性をどのように証明することができるのか? |
⑶ AIモデルの開発段階における個人データの違法な処理が、その後のAIモデルの処理または運用にどのような結果をもたらすのか? |
以下、各質問に対する本意見の内容を概観する。
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(ごとう・みき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。
(まえだ・こうき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2020年東京大学法学部卒業。2022年東京大学法科大学院卒業。2023年弁護士登録(第一東京弁護士会)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
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