SH5418 環境省、脱炭素経営の促進に関する各種ガイドを公表 宮川賢司/香川遼太郎(2025/04/23)

組織法務サステナビリティ

環境省、脱炭素経営の促進に関する各種ガイドを公表

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 宮 川 賢 司

弁護士 香 川 遼太郎

 

1 はじめに

 環境省は、2025年3月31日、「1次データを活用したサプライチェーン排出量算定ガイド-『削減努力が反映されるScope3排出量算定』へ-」(以下「本1次データ活用ガイド」という。)および「バリューチェーン全体の脱炭素化に向けたエンゲージメント実践ガイド」(以下「本実践ガイド」といい、本1次データ活用ガイドと併せて「本各種ガイド」と総称する。)を公表した[1]。環境省では、これまで、脱炭素経営を支援するモデル事業等の取組みを実施しており、これらの実施を踏まえ、バリューチェーン(以下「VC」という。)全体での脱炭素化に向けた取組みを推進するための参考となる情報・手法等を共有するために、本各種ガイドが公表されるに至った。

 なお、米国トランプ政権の誕生により、脱炭素重視の考え方と化石燃料重視の考え方が拮抗しつつあるようにも見受けられる。しかし、EUにおいては多少の気候変動規制緩和の動きがあるものの引き続き脱炭素重視であり、わが国においても、たとえば、2025年2月25日に義務的な排出量取引の導入を内容とするいわゆるGX推進法の改正法案を閣議決定する等、中長期的な視点で脱炭素を後押しする政策が実施されている。グローバルな視点では、脱炭素やESGを重視する投資家は依然として相応に存在するため、わが国の企業としては、本各種ガイドを参照しつつ、より正確で主体的な温室効果ガス(以下「GHG」という。)排出量の算定・開示を進めることにより、ESG投資を呼び込むことが求められる。

 したがって、本各種ガイドを含む脱炭素対応は引き続き重要であると考えられ、その観点から本稿では本各種ガイドの概要について概説する[2]

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(みやがわ けんじ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所スペシャル・カウンセル弁護士。1997年慶應義塾大学法学部卒業。2000年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2004年ロンドン大学(University College London)ロースクール(LL.M.)修了。2019年から慶應義塾大学非常勤講師(Legal Presentation and Negotiation)。国内外の金融取引、不動産取引、気候変動関連法務および電子署名等のデジタルトランスフォーメーション関連法務を専門とする。

 

(かがわ・りょうたろう)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。早稲田大学法学部卒業。2022年弁護士登録(東京弁護士会)。執筆として「非化石証書の制度と実務」(NBL2023年11月1日号)等。

 

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

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