米政府、日本製鉄によるUSスチール買収提案につき、CFIUSに再審査を指示する大統領覚書
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 龍 野 滋 幹
弁護士 水 本 啓 太
1 はじめに
2025年4月7日、米政府は、日本製鉄によるUSスチールの買収提案(以下「本買収提案」という。)に関し、CFIUSに再審査を指示する大統領覚書(Presidential Memorandum)(以下「本大統領覚書」という。)を公表[1]した。本買収提案については、すでに同年1月に当時のジョー・バイデン大統領が、本買収提案に係る取引を中止する命令(以下「本中止命令」という。)を発表[2]している。本稿では、CFIUSの審査制度を概観した上で、すでに大統領が取引の中止命令を出している中で出された本大統領覚書の位置づけおよびその内容について概説する。
この記事はプレミアム向け有料記事です
続きはログインしてご覧ください
(たつの・しげき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2000年東京大学法学部卒業。2002年弁護士登録(第二東京弁護士会)、当事務所事務所入所。2007年米国ニューヨーク大学ロースクール卒業(LL.M.)、2008年ニューヨーク州弁護士登録、2007年~2008年フランス・パリのHerbert Smith法律事務所にて執務。2014年から東京大学大学院薬学系研究科・薬学部「ヒトを対象とする研究倫理審査委員会」審査委員。国内外のM&A、ジョイント・ベンチャー、投資案件やファンド組成・投資、AI・データ等の関連取引・規制アドバイスその他の企業法務全般を取扱っている。週刊東洋経済2020年11月7日号「「依頼したい弁護士」分野別25人」のM&A・会社法分野で特に活躍が目立つ2人のうち1人として選定。
(みずもと・けいた)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所シニア・アソシエイト。2011年神戸大学法学部卒業。2013年東京大学法科大学院修了。2014年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2022年米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校修了(LL.M.)。2022年~2023年米国ロサンゼルスのPillsbury Winthrop Shaw Pittman法律事務所勤務。2023年カリフォルニア州弁護士登録。主に国内外のM&A取引やスタートアップ投資その他一般企業法務等のコーポレート案件を取り扱っている。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。
<連絡先>
〒100-8136 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング
* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用