「企業価値担保権付き融資の評価や引当の方法等に係る基本的な考え方について(案)」、「事業性融資の推進等に関する法律施行令(案)」および「企業価値担保権に関する信託業務に関する内閣府令(案)」等の公表
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 粟田口 太 郎
弁護士 田 村 将 人
1 はじめに
事業性融資の推進等に関する法律(令和6年法律第52号。以下「事業性融資推進法」または「法」ということがある。)[1]は、株式会社または持分会社の「総財産」の上に設定することのできる新たな全資産担保として、企業価値担保権を創設した。その施行日は未定であるが、2026年春頃と予想されているところ[2]、金融庁は、その施行を見据えて、2025年4月下旬に、実務上重要となる次の2点につき、パブリックコメント(意見公募)の手続を開始した。
第1は、2025年4月25日に公表された「企業価値担保権付き融資の評価や引当の方法等に係る基本的な考え方について(案)」(以下「評価・引当方法の考え方」という。)であり、同年5月28日が募集期限とされている[3]。
第2は、2025年4月30日に公表された「事業性融資の推進等に関する法律施行令(案)」(以下「施行令」という。)および「企業価値担保権に関する信託業務に関する内閣府令(案)」(以下「内閣府令」という。)であり、同年5月30日が募集期限とされている[4]。
本稿では、今般公表されたこれらの内容を概説する[5]。
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(あわたぐち・たろう)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー弁護士。事業再生・倒産法務、金融法務、会社法務に注力。ABL協会理事・運営委員長。武蔵野大学大学院法学研究科(ビジネス法務専攻)特任教授。早稲田大学大学院法務研究科非常勤講師。
(たむら しょうと)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2017年甲南大学法学部卒業。2018年弁護士登録(東京弁護士会)。2019年アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所。2023年9月より金融庁企画市場局総務課課長補佐として、事業性融資の推進等に関する法律(企業価値担保権)の立法作業に従事。2024年9月アンダーソン・毛利・友常法律事務所に復帰。
主な著書・論文等として、「事業性融資の推進等に関する法律の概要(下)――企業価値担保権を中心に」NBL1271(2024.8.1)号、『ケースでわかる実践「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」』(共著)(中央経済社、2022年)等。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。
<連絡先>
〒100-8136 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング
* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用