輸出管理の見直し
――キャッチオール規制の見直しに関する政省令等の改正等――
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 髙 嵜 直 子
弁護士 德 元 あす美
1 はじめに
2025年4月9日、補完的輸出規制の見直しに関する政省令等の改正が公布され、同年10月9日付で施行された。この改正は、輸出管理制度の強化を目的として、2024年4月24日に公表された産業構造審議会・安全保障貿易管理小委員会中間報告の提言を受けて、従前の補完的輸出規制(いわゆるキャッチオール規制)の要件等が見直しされたものである。
輸出管理制度(安全保障貿易管理制度)は、兵器不拡散等を目的とし、武器や軍事製品に転用可能な貨物の輸出または技術の提供を規制管理する取り組みである。日本における輸出管理制度は、ワッセナー・アレンジメントなど国際的な枠組み(いわゆる輸出管理レジーム)を前提として構築されている。昨今は軍事転用可能なデュアルユース技術の拡大や輸出管理レジームに参加していない技術保有国の台頭などで国際的な安全保障環境が変化している。平和と安全の観点からわが国もこうした変化に対応することが求められていたところ、今般の制度見直しがなされた。
本稿では、補完的輸出規制の改正内容について概観した上で、外国ユーザーリストの改正やQ&Aの変更の内容について解説する。
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(たかさき・なおこ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所スペシャルカウンセル。2004年東京大学法学部卒業。2006年東京大学法科大学院卒業。2007年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2012年Stanford School of Law(LL.M.)修了。2013年ニューヨーク州弁護士登録。インドネシア及びシンガポールの大手法律事務所、経済産業省通商政策局国際経済紛争対策室への出向経験を有する。主な業務取扱分野は、WTO/国際通商法務、海外事業展開の支援等。
(とくもと・あすみ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2022年東京大学法学部卒業。2024年東京大学法科大学院修了。2025年弁護士登録(第一東京弁護士会)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。
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* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用