金融庁、規制緩和要望への対応などで銀行法施行規則等の改正案を公表
――9月10日まで意見募集、事業再生に係る5%ルールの例外措置拡充など多様な改正――
金融庁は8月7日、関係業界団体からの規制緩和要望等に対応するとして「銀行法施行規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等を公表した。
公表されたのは(1)銀行法施行規則、(2)長期信用銀行法施行規則、(3)信用金庫法施行規則、(4)貸金業法施行規則、(5)協同組合による金融事業に関する法律施行規則、(6)保険業法施行規則、(7)信託業法施行規則、(8)主要行等向けの総合的な監督指針、(9)中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針の各改正案で、いずれも9月10日まで意見募集を実施、所要の手続を経て公布・施行される。
上記(1)の改正は(ア)事業再生、地域活性化事業、事業承継に係る銀行等の議決権保有制限(いわゆる5%ルール)の例外措置の拡充・新設、(イ)銀行等の営業所の臨時休業・業務再開届出等の廃止を図るもの。(ア)に関しては、たとえば事業再生について銀行法16条の2(銀行の子会社の範囲等)1項12号の2に規定する「内閣府令で定める要件」の記載ぶりを大幅に改めるほか(改正後の銀行法施行規則17条の2(専門子会社の業務等)8項各号等)、事業承継については規定を新設して対応する(改正後の同条7項9号)。(イ)に関しては、銀行法16条(臨時休業等)1項の委任によって届出等が除外される「内閣府令で定める場合」として、いわゆる天災地変時における休業の場合を追加(改正後の銀行法施行規則17条(臨時休業の届出等)2項4号)。上記(2)、(3)および(5)の改正は、このような改正内容を各施行規則においても反映するものとなっている。
上記(4)貸金業法施行規則の改正によっては、(ウ)貸金業者の各種書面への貸金業者登録番号記載の緩和、(エ)貸金業務取扱主任者の旧姓による登録への対応を実現。(ウ)に関し、契約締結前・締結時に交付する書面などにおいて「登録番号の括弧書」の記載を省略することができるものとするほか(改正後の同規則12条の2・13条等)、(エ)に関しては、貸金業務取扱主任者について、同規則4条(登録申請書の添付書類)3項2号、26条の52(主任者登録の申請)4項などを手当てするとともに、関連する別紙様式中「記載上の注意」を改める。
上記(6)保険業法施行規則の改正では、主に(オ)保険会社が保険以外の金融商品を扱う場合の特定窓口に係る規制緩和を図る。特定窓口の設置義務は廃止されることになるが(改正後の53条の2(金銭債権等と保険契約との誤認防止)3項)、保険契約ではなく元本保証もないといった事項に関する顧客への説明義務(53条の2第2項)は存置されるほか、これらの事項の営業所内・事業所内における掲示義務が課されている(改正後の同条3項)。
また、上記(7)信託業法施行規則の改正は(カ)信託契約代理業者が所属信託会社の説明書類(いわゆるディスクロージャー誌)を縦覧等に供する際の手続の簡素化を図るもの。79条の2(所属信託会社の説明書類の縦覧)の1か条についてのみ、改正案が示されている。
上記(8)および(9)の2監督指針の改正では、(キ)銀行業高度化等会社の認可に係る審査目線および地域商社への出資の明確化のため、銀行業高度化等会社に関する一連の規定として(8)については「V−3−3−4」を、(9)については「III−4−7−4」を、それぞれ新設して対応することとしている。