タイ:リモートワークに関する労働者保護法改正
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 佐々木 将 平
はじめに
労働者保護法に在宅勤務及びリモートワーク(以下「リモートワーク」という。)に関する規定を追加する改正法(以下「改正法」という。)が、2023年3月19日付で官報に掲載され、4月18日付で施行された。タイにおいても、コロナ禍を契機としてリモートワークが広まったが、リモートワークに関しては従業員にとって業務とプライベートの垣根が曖昧になる等の問題も指摘されている。かかる問題を踏まえ、改正法においては、労働者のウェルビーイングを高める観点から一定の規律を定めるとともに、労働者に対していわゆる「つながらない権利」を認める改正が行われている。改正の目的としては、上記に加えて、リモートワークの活用が使用者側の事業運営上有用であるという点や、交通渋滞問題やエネルギー消費の削減といった社会課題の解決に繋がるという点も、掲げられている。
改正法に関しては、労働保護福祉局が説明資料(以下「当局説明」という。)を公表しており、その内容も踏まえつつ、その概要を紹介する。
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(ささき・しょうへい)
長島・大野・常松法律事務所バンコクオフィス代表。2005年東京大学法学部卒業。2011年 University of Southern California Gould School of Law 卒業(LL.M.)。2011年9月からの約2年半にわたるサイアムプレミアインターナショナル法律事務所(バンコク)への出向経験を生かし、日本企業のタイ進出及びM&Aのサポートのほか、在タイ日系企業の企業法務全般にわたる支援を行っている。タイの周辺国における投資案件に関する助言も手掛けている。
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