主要株主が制度信用取引により取得した買い建玉を売却し、同日に同数の株式を同一金額で現物取引により買い付けたクロス取引が短期売買利益提供義務の類型的適用除外取引に当たらないと判断された事例(東京地判令和5年12月6日)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 生 方 紀 裕
1 はじめに
東京地方裁判所は、2023年12月6日、上場会社(原告)の主要株主(被告)が制度信用取引により取得した原告株式の買い建玉を売却し、同日に同数の原告株式を同一金額で現物取引により買い付けたクロス取引に関して、原告が被告に金融商品取引法(以下「金商法」という。)164条1項に基づいて、短期売買利益を提供するように請求した事案について、原告の請求を認めて、被告に短期売買利益相当額および遅延損害金の支払いを命ずる判決を下した。
本稿では、同判決の概要を速報として紹介する。なお、特に断らない限り、以下に記載する日付は、いずれも2021年を意味するものとする。
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(うぶかた・のりひろ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2006年東京大学法学部卒業。2007年弁護士登録(第二東京)。2013年ミシガン大学ロースクール修了(LL.M., in International Taxation)。2013年~2014年豪州ブリスベンのClayton Utz法律事務所勤務。2016年から早稲田大学法務教育研究センター講師(租税法担当)。主に、株主総会指導、敵対的買収防衛、アクティビスト株主対応を含む一般企業法務、M&A及び商事訴訟などを取り扱う。
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