農地法施行規則の一部改正および営農型太陽光発電に係る
農地転用許可制度上の取扱いに関するガイドラインの制定
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 宇田川 法 也
弁護士 藤 木 崇
弁護士 香 川 遼太郎
1 はじめに
2024年3月4日、農林水産省は、「農地法施行規則の一部改正案についての意見・情報の募集」の結果(以下「パブコメ(規則)」という。)および「営農型太陽光発電に係る農地転用許可制度上の取扱いに関するガイドライン案についての意見・情報の募集」の結果(以下「パブコメ(GL)」という。)として、パブリックコメントの結果を公表した[1]。同日、農地法施行規則の一部を改正する省令(農林水産省令第9号)(以下「本改正」という。)が制定されており、農林水産省のホームページ上で「営農型太陽光発電に係る農地転用許可制度上の取扱いに関するガイドライン」(以下「本GL」という。)(2024年4月1日施行予定)が公表されている[2]。
本項では、本改正および本GLの概要について解説する。
2 本改正および本GL制定の経緯
営農型太陽光発電を行う場合には、支柱部分について、農地法4条1項または5条1項に基づく農地の一時転用許可を要することとされ、農林水産省により「支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取扱いについて」(平成30年5月15日付30農振第78号農林水産省農村振興局長通知)(以下「旧通知」という。)において、営農型太陽光発電にかかる一時転用許可の基準等の詳細が示されることを通じた運用がなされていた。ところが、発電に重きを置き営農がおろそかにされ、営農型太陽光発電設備の下部の農地の利用に支障が生じている事案が問題視されてきた。そこで、営農型太陽光発電にかかる農地の一時転用に関する許可基準等について、農地法施行規則に新たに規定を設けることとし、さらに許可基準等の内容そのほか営農型太陽光発電の実施にかかる具体的な考え方や取扱いにかかる事項について旧通知に代わるガイドラインを新たに制定するとして、2023年12月4日より本改正の案および本GLの案がパブリックコメントに付されていた。本改正および本GLはその結果を踏まえたものである。
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(うだがわ・のりや)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2004年東京大学法学部卒業。2006年東京大学法科大学院卒業。2007年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2016年University of California, Los Angeles School of Law (LLM)修了。2017年ニューヨーク州弁護士登録。ストラクチャード・ファイナンス、プロジェクト・ファイナンス、PPP/PFI、ファンド取引等の金融取引を幅広く取り扱っており、資源・エネルギー分野においては、再生可能エネルギー発電事業に関するスキーム構築、契約交渉等に関与し、豊富な経験を有している。
(ふじき・たかし)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト弁護士。2007年東京大学法学部卒業。2009年東京大学法科大学院卒業。2010年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2018年ニューヨーク大学・ロースクール(LLM)修了(同年、ニューヨーク州司法試験合格)。2023年Best Lawyers in Japan選出。大手発電事業会社での出向経験を活かし、資源・エネルギー分野を中心とし、FIT/FIP(営農型案件、洋上風力案件・プロジェクトファイナンス案件を含む)、水素・アンモニア関連案件、コーポレートPPA案件(フィジカル・バーチャル含む)、発電所の工事・運営、電力卸取引、電力関係のスタートアップ支援等に従事している。執筆として「非化石証書の制度と実務」(NBL2023年11月1日号)等。
(かがわ・りょうたろう)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。早稲田大学法学部卒業。2022年弁護士登録(東京弁護士会)。執筆として「非化石証書の制度と実務」NBL1253号(2023)等。
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<事務所概要>
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