育児・介護休業法の改正案を閣議決定、国会に提出
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 神 尾 有 香
弁護士 安 藤 翔
弁護士 津 田 桃 佳
1 はじめに
2024年3月12日、政府は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下、「育児・介護休業法」という。)および次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案(以下、「本改正案」という。)を閣議決定し、第213回通常国会に提出した[1]。
本改正案は、「今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会」の報告書[2](以下、「報告書」という。)、2023年12月22日に閣議決定された「こども未来戦略」[3]、およびこれらを反映した厚生労働省の労働政策審議会による「仕事と育児・介護の両立支援対策の充実について」の建議(以下、「本建議」という。)[4]を踏まえて策定されたものである。
紙幅の制約上、本稿では、本改正案のうち育児・介護休業法における子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置に関するものに絞って改正点を解説する[5]。
2 改正点の解説
2024年2月27日に公開された厚生労働省の人口動態統計速報によると、日本では8年連続で出生数が減少して過去最少となっており、少子高齢化および人口減少が加速している[6]。少子化の原因としては、育児の負担の女性への偏在や男性の家事・育児参加率の低さが指摘されているところである。このような状況下において、男女とも育児・家事を担いつつ、希望に応じて仕事やキャリア形成との両立が可能となるようにしていくことが重要な課題であり、そのために男女ともに働き方を見直していくことは、少子化対策にも資するものと考えられる[7]。このような問題意識から、本改正案においては、次の【表1】のとおり、子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置が拡充されている。
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(かみお・ゆか)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2006年慶應義塾大学法学部卒業。2007年弁護士登録(第一東京)。2013年University of Pennsylvania Law School(LL.M., Certificate in Business and Law The Wharton School)修了。2014年ニューヨーク州弁護士登録。労働案件を中心として、国内外の企業・組織に対し、訴訟対応、ハラスメント調査、コンプライアンス、その他人事・労務に関する諸問題についてのアドバイス等、幅広いリーガルサービスを提供しており、日本の労働法制に知見のない依頼者へのアドバイスも日常的に行っている。
(あんどう・しょう)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2010年早稲田大学法学部卒業。2013年慶應義塾大学法科大学院卒業。2014年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2019年~2020年に米国ニューヨークの大手総合商社・コンプライアンス部門に出向。2022年University of Virginia(LL.M)卒業。経営法曹会議会員。使用者側の労働法務を中心に個人情報保護法等の領域も取り扱い、国内外のクライアントに対し、多数のアドバイスを行っている。
(つだ・ももか)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2021年東京大学法学部卒業。2022年弁護士登録(第二東京弁護士会)。主に、労働案件、訴訟案件、コーポレート案件等に携わっている。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
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