最二小判、従業員の職種限定合意がある場合において、当該従業員に対する異なる職種等への配置転換命令につき、配置転換命令権の濫用に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 大 槻 健 介
弁護士 西 内 愛
1 はじめに
最高裁判所第二小法廷は、2024年4月26日、被上告人である社会福祉法人Y協議会(以下「Y」という。)が運営する滋賀県福祉用具センター(以下「福祉用具センター」という。)において、福祉用具の改造・製作および技術の開発(以下「本件業務」という。)に従事する技術職として雇用されていた上告人(以下「X」という。)が、X・Y間の職種限定合意に反して行われた配置転換命令が違法であるとして、債務不履行または不法行為に基づく損害賠償等を請求した事案(以下「本件」という。)において、原審の判決(大阪高判令和4・11・24 Westlaw Japan 2022WLJPCA11246013)を破棄し、原審に差し戻した(以下「本判決」という。)。
以下、事案の概要および最高裁の判断を紹介した上、その内容につき検討する。
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(おおつき・けんすけ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2005年 京都大学法学部卒業。2007年 弁護士登録(第一東京弁護士会)。2014年 米国Fordham University School of Law卒業、同年ニューヨーク州司法試験合格。2014年 – 2015年 フランス パリのMcDermott Will & Emery法律事務所にて研修。雇用関係法、労働法に関する業務分野を中心に、人事制度・人事管理関係の案件、労働訴訟・労働審判その他の労働紛争を広く取り扱う。
(にしうち・あい)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2009年慶応義塾大学法学部卒業。2011年東京大学法科大学院卒業。2012年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2023年英国Queen Mary, University of London (LL.M.)修了、同年12月英国弁護士(Solicitor, England and Wales)登録。経営法曹会議会員。労働法務を中心に、国内外のクライアントに対しアドバイスを行っている。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
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アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。
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