ベトナム:職場におけるセクハラ防止に関する最新アップデート
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 井 上 皓 子
ベトナム弁護士 Pay Thi Dung
2021年1月に施行された現行労働法では、セクシャルハラスメントが「他者に対する性的な性質を有する行為であり、その他者が望まない、又は承認しないもの」と定義され(3条9項)、職場におけるセクシャルハラスメントが明示的に禁止されるとともに、使用者はセクシャルハラスメントを防止するための措置を講じ、就業規則にも予防措置やセクシャルハラスメントが起きた場合の処分等について明記しなければならないとされた。
施行から約3年半が経過し、近時は、職場でのセクシャルハラスメント防止規程の整備も進んできたように思う。他方で、先月、ベトナムの有名書籍出版社で、社長が、女性従業員に対し身体的な接触を伴うセクシャルハラスメントを行ったとして、被害者の関係者からSNSで告発された。この事案は大きく報道され、著者等からの契約解除や全国的な不買運動に繋がり、結果として、会社は、社長の地位を一時的に停止する措置を取ることになった。この事例からは、改めて、職場におけるセクシャルハラスメント防止の重要性が高まっているものと感じられる。
セクシャルハラスメントについては、SH3622 ベトナム:新労働法による変更点⑪ セクシャルハラスメント(2) 井上皓子(2021/05/18) 及び SH3618 ベトナム:新労働法による変更点⑪ セクシャルハラスメント(1) 井上皓子(2021/05/17)で概要を解説しているので、本稿では、ベトナム労働傷病兵社会省(MOLISA)が発行している「職場におけるセクシャルハラスメントに関するガイドブック(sổ tay hướng dẫn về phòng, chống quấy rối tình dục tại nơi làm việc)を参照して、具体的な注意点を紹介する。
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(いのうえ・あきこ)
2008年東京大学法学部卒業。2010年東京大学法科大学院修了。2011年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2018~2020年、長島・大野・常松法律事務所ハノイ・オフィス勤務。日本にお
(ズン・パイ)
2014年Hanoi Law University (L.L.B)及び名古屋大学日本法教育研究センター(ハノイ)卒業。2017年名古屋大学大学院法学研究科修了。2017年11月に長島・大野・常松法律事務所のハノイオフィスに勤務。
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