米商務省、中国・ロシアを念頭に、コネクテッドカーの
サプライチェーンを外国の敵対的脅威から守るための規則案を発表
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 井 上 乾 介
弁護士 安 田 達 士
弁護士 小 倉 輝 洋
1 はじめに
米国商務省産業安全保障局(以下「BIS」という。)は、2024年9月23日に、中国・ロシアを念頭に、コネクテッドカーのサプライチェーンを外国の敵対的脅威から守るための規則案(以下「本規則案」という。)を発表した[1]。
本規則案は、中国またはロシアの企業などによって製造、開発された、特定のハードウエアとソフトウエアが搭載されたコネクテッドカーやそれら部品の輸入または販売を禁止することを主な内容としている。
本稿では、本規則案の概要を紹介し、予想される日本企業への影響について述べる。
2 制定の背景
米国のバイデン大統領は、2024年2月に商務長官に対し、中国などの懸念国の情報通信技術を利用している自動車の安全保障上のリスクを調査し、必要な対応を取るよう指示していた[2]。
これを受け、BISは3月に、コネクテッドカーに不可欠な情報通信技術サービス(ICTS)取引がもたらす安全保障上のリスクに関する規則策定案事前公告(ANPRM)を公示し、パブリックコメントを求めていた[3]。
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(いのうえ・けんすけ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 スペシャル・カウンセル。2004年一橋大学法学部卒業。2007年慶応義塾大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(東京弁護士会)。2016年カリフォルニア大学バークレー校・ロースクール(LL.M.)修了。2017年カリフォルニア州弁護士登録。著作権法をはじめとする知的財産法、個人情報保護法をはじめとする各国データ保護法を専門とする。
(やすだ・たつし)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2008年早稲田大学大学院卒業(修士(理学))。電機メーカーで知的財産業務に従事。2017年弁護士登録(第二東京弁護士会)。
(おぐら・てるひろ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2022年慶應義塾大学文学部卒業。AI・ロボティクススタートアップ企業勤務。2023年弁護士登録(東京弁護士会)。REIT・倒産事業再生・テレコム・スタートアップ等を取り扱う。
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