外為法に基づく対内直接投資審査制度における事前届出免除制度の見直し
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 松 本 拓
弁護士 鈴 木 潤
弁護士 武士俣 隆 介
弁護士 佐 藤 龍
1 はじめに
財務省は、2025年2月10日、外国為替及び外国貿易法(以下「外為法」という。)に基づく対内直接投資審査制度における事前届出免除制度を見直すことを内容とする関連政省令・告示改正案に関する意見公募手続(パブリックコメント)を開始した。見直しの内容は、主に、①外国政府との契約や、外国の法令に基づき外国政府の情報収集活動に協力する義務が課されている投資家(以下「特定外国投資家」という。)等による投資、および②経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(以下「経済安全保障推進法」という。)上の特定社会基盤事業者のうち、特に慎重な投資審査に付す必要性が高い事業者(以下「特定コア事業者」という。)への一定の投資について、いずれも事前届出免除制度の利用を限定するものである。財務省国際局の「制度改正の概要」および政令・命令・告示の改正案[1]をもとに、見直しの内容について概説する。
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(まつもと・たく)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー(弁護士・ニューヨーク州弁護士)。主要な業務分野は,①M&A・投資,②経済安全保障・通商,③アウトバウンド・インバウンド,④スタートアップ法務・投資,⑤ウェルス・マネジメント及び⑥競争法関連。2012年インドネシアのSSEK法律事務所勤務,2016年コロンビア大学・ロースクール(LL.M.)修了,2016年~2017年米国のSeward & Kissel法律事務所勤務。https://www.amt-law.com/professionals/profile/TUM
(すずき・じゅん)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所スペシャル・カウンセル。2004年慶應義塾大学法学部卒業。2006年立命館大学法科大学院卒業。2009年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2015年米国ジョージ・ワシントン大学ロースクール(LL.M.)修了。2017年ニューヨーク州弁護士登録。2024年7月まで2年間、外務省総合外交政策局経済安全保障政策室において、経済安全保障推進法、外為法、重要土地等調査法、重要経済安保情報保護活用法等の設計や運用にかかる体制整備等を担当。それ以前は、日系事業会社の本社及び米国グループ会社の法務部において経済安全保障部門の立ち上げに関与した他、グループ全体の経済安全保障に関するコンプライアンス体制の整備、投資案件等の個別案件を担当。
(ぶしまた・りゅうすけ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所シニアアソシエイト。主要な業務分野は①国内およびクロスボーダーのM&A・投資、②ヘルスケア・医薬品関連法務。2022~2024年財務省大臣官房企画官(国際局調査課)。著作『M&A・投資における外為法と海外の投資規制の実務』(共著)(中央経済社、2024)、「財務省・2023年度版『外為法・対内投資審査制度-アニュアルレポート(年次報告書)』の概要と近時の無届事案の分析について」(共著)NBL1283号(2025)、「財務省『外為法・投資審査制度にかかるアニュアルレポート(年次報告書)[2023年度版]』の刊行とアウトリーチの取組み」(共著)金融法務事情2252号(2025)ほか。
(さとう・りゅう)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2019年早稲田大学政治経済学部卒業。2021年一橋大学法科大学院卒業。2023年弁護士登録(第二東京弁護士会)。M&A、訴訟、再保険などの分野を中心に取り扱う。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。
<連絡先>
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* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用