◇SH3225◇証券監視委、令和元年度の「金融商品取引法における課徴金事例集~不公正取引編~」を公表――29件の課徴金勧告事例から(2020/07/07)

未分類

証券監視委、令和元年度の
「金融商品取引法における課徴金事例集~不公正取引編~」を公表

――29件の課徴金勧告事例から――

 

 証券取引等監視委員会は6月24日、令和元年度の「金融商品取引法における課徴金事例集~不公正取引編~」を公表した。

 本事例集は、証券監視委が、平成31年4月から令和2年3月までの間に、金融商品取引法違反となる不公正取引に関し勧告を行った事例について、その概要を取りまとめたものである。

 

 本年度の事例集においては、市場関係者に不公正取引を未然に防止するための参考となるよう、従来行ってきた工夫に加えて、

  1. ① 近年勧告件数が多い、情報伝達・取引推奨規制を説明するイメージ図の新設
  2. ② 監視委コラムのうち、インサイダー取引関連について「インサイダー取引規制における『業務執行を決定する機関』や『決定』の意義とは」「社内における業績修正情報の管理は、特に注意!」「組織としての情報管理の問題か、属人的な問題か?」等を掲載

するなど、内容の充実が図られている。

 

 証券監視委としては、不公正取引の未然防止という観点から、本書が、

  1. ① 重要事実等の発生源となる上場会社等におけるインサイダー取引管理態勢の一層の充実
  2. ② 公開買付け等企業再編の当事者からフィナンシャル・アドバイザリー業務等を受託する証券会社・投資銀行等における重要事実等の情報管理の徹底
  3. ③ 証券市場のゲートキーパーとしての役割を担う証券会社における適正な売買審査の実施

のために役立てることを期待するとしている。

 

 以下では、本書から、当年度の課徴金勧告の特徴等を紹介する。

 

1 課徴金勧告の件数および課徴金額

 令和元年度は課徴金勧告を29件行った。令和元年度における課徴金勧告の特徴は、以下のとおりである。

○インサイダー取引

  1. ・ バスケット条項を適用した事案を複数勧告
  2. ・ 上場会社の役員自らが、情報伝達・取引推奨規制違反となる情報伝達・取引推奨を行った事案を複数勧告
  3. ・ 取引推奨規制違反のみを行った者を対象とした事案を複数勧告
  4. ・ 損失の発生を回避させる目的をもって売付けの推奨を行った事案を勧告
  5. ・ 海外に居住する個人投資家によるクロスボーダー取引を利用したインサイダー取引事案を勧告

○相場操縦

  1. ・ 受託証券会社から見せ玉について注意を受けないようにするため、見せ玉を全部取り消さずに一部を約定させたり、指値を訂正して約定を回避するなどしていた事案を複数勧告
  2. ・ 10本値内の幅広い価格帯に見せ玉を発注していた事案を勧告
  3. ・ 過去5年以内に課徴金納付命令を受けた者による2回目の相場操縦事案を勧告

 

2 インサイダー取引規制による課徴金勧告事案の特色

⑴ 勧告件数および課徴金額の状況

 令和元年度の勧告件数は24件(14事案)であり、前年度と同程度となった。1事案で2件以上の勧告を行った事案が7事案あり、うち1事案では4件の勧告を行った。令和元年度の課徴金額の合計は2億4,073万円と、前年度(3,665万円)に比べ大幅に増加し、年度別で過去最高の金額となった。その要因としては、課徴金額が過去最高額(1億9,625万円)となる事案(海外に居住するイノテックとの契約締結交渉者の役職員に対する課徴金納付命令の勧告・令和元年12月6日)があったことが挙げられ、これにより、平均課徴金額も1,003万円と大幅増となった。

 平成26年4月に導入された情報伝達・取引推奨規制に違反した者についても、令和元年度の勧告件数は8件(7事案)と、前年度の4件(4事案)から増加している。

 

⑵ 重要事実等の状況

 令和元年度の勧告件数24件における重要事実等20件を分類すると、新株等発行が4件(20.0%)、業務提携、業績修正、会社更生が各3件(各15.0%)となっており、バスケット条項の適用が4件(20.0%)となっている。

 

⑶ 違反行為者の属性別の状況

 令和元年度の違反行為者16名のうち、会社関係者等が8名(50.0%)、第一次情報受領者が8名(50.0%)となっている。会社関係者等8名の内訳は、社員7名(87.5%)、契約締結者等1名(12.5%)となっている。第一次情報受領者8名の内訳は、取引先1名(12.5%)、親族1名(12.5%)、友人・同僚が4名(50.0%)となっており、引き続き友人・同僚の割合が高くなっている。違反行為者を、社内の者と社外の者で大別してみると、社内の者が7名、社外の者が9名となっており、引き続き社外の者によるインサイダー取引の割合が高くなっている。

 

⑷ 情報伝達・取引推奨規制による勧告の状況

 令和元年度の情報伝達規制違反では、5名(4事案、情報受領者5名)について勧告を行った。

 取引推奨規制違反では、3名(3事案、被取引推奨者3名)について勧告を行った。このうち1名(1事案、被取引推奨者1名)については、損失の発生を回避させる目的をもって売付けの取引推奨規制違反行為を行った者についての勧告であり、規制導入後、初めての事案である。

 

⑸ 情報伝達者(情報伝達規制違反と認定されなった者も含む)の属性別の状況

 令和元年度の情報伝達者8名の内訳をみると、役員2名(25.0%)、社員2名(25.0%)、契約締結者等4名(50.0%)となっており、うち5名については、情報伝達規制違反による勧告を行った。

 

3 相場操縦による課徴金勧告事案の特色

 令和元年度の勧告件数は5件(個人5件)、課徴金額合計は3,936万円であり、件数としては、前年度と同程度となったが、課徴金額は前年度(3億7,341万円)を大きく下回った。これは前年度に法人2社について3億円を超える課徴金勧告を行ったことによるものであり、その結果、平均課徴金額も787万円と前年度(5,334万円)と比べ減少した。

 本年度において、最も高額な課徴金額(2,357万円)は(ビート・ホールディングス・リミテッド株式に係る課徴金納付命令の勧告・1月28日)、個人に対する課徴金額として過去3番目に高額であり、個人に対する平均課徴金額(787万円)としては、前年度(433万円)より増加した。なお、うち1件は、過去5年以内に課徴金納付命令を受けた者による再度の相場操縦行為についての勧告(加算規定の適用により、課徴金額が1.5倍となる)であった。

 

 

証券監視委、「金融商品取引法における課徴金事例集~不公正取引編~」の公表について(6月24日)

https://www.fsa.go.jp/sesc/jirei/torichou/20200624.htm

タイトルとURLをコピーしました