SH3652 個人情報委、令和2年改正個人情報保護法 ガイドライン案を公表 沢崎敦一/田浦一(2021/06/08)

取引法務個人情報保護法

個人情報委、令和2年改正個人情報保護法
ガイドライン案を公表

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業

弁護士 沢 崎 敦 一
弁護士 田 浦   一

 

1 はじめに

 2022年4月1日に予定されている令和2年改正個人情報保護法(「改正法」)の全面施行に向けた準備作業の一環として、2021年5月19日、個人情報保護法ガイドラインの改正案(「改正ガイドライン案」)が個人情報保護委員会(以下「委員会」)から公表された。この改正ガイドライン案は、改正法や2021年3月24日に公布された改正法の施行令(「改正施行令」)および施行規則(「改正施行規則」)の内容を踏まえたものである。以下、改正ガイドライン案の内容をかいつまんで紹介する。

 

2 改正ガイドライン案の概要

⑴ 利用停止等

 現行法上、本人には保有個人データの利用の停止又は消去を請求する権利が与えられているが、当該権利行使ができる場合が目的外利用の禁止違反・不正取得の場合に限定されている(現行法30条1項)。また、保有個人データの第三者提供の停止を請求する権利を行使できるのは、第三者提供義務違反の場合に限定されていた(現行法30条3項)。

 改正法では、上記に加えて、保有個人データを利用する必要がなくなった場合、重大な漏えい等が発生した場合その他本人の権利又は正当な利益が害されるおそれがある場合にも、利用の停止又は消去、第三者提供の停止を請求することができることとなった(改正法30条5項)。

 改正ガイドライン案では、「本人の権利又は正当な利益が害されるおそれがある場合」について、解釈が具体的に示された。

▶ 利用停止等が認められる事例

  1. ✔ ダイレクトメール送付の停止を求める意思を表示したにもかかわらず、ダイレクトメールが繰り返し送付される場合
  2. ✔ 電話勧誘停止を求める意思を表示したにもかかわらず、電話勧誘が繰り返される場合
  3. ✔ 安全管理措置が十分に講じられておらず、漏えい等するおそれがある場合

▶ 利用停止等が認められない事例

  1. ✔ 電話料金の支払いを免れるため、電話会社に対して課金に必要な情報の利用停止等を請求する場合
  2. ✔ インターネット上で匿名の投稿を行った者が、発信者情報開示請求による発信者時の特定等を免れるために、プロバイダに対して接続認証ログ等の利用停止等を請求する場合

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(さわさき・のぶひと)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー。1999年3月東京大学法学部卒業、2001年弁護士登録(54期)。データプライバシー法務、労働法務を中心に、企業法務全般を広く取り扱う。データプライバシー法務に関しては、業界の指針の作成・改正に携わったほか、金融機関、共通ポイントプログラム運営事業者、Eコマース事業者を中心に国内外のクライアントに対し多数の案件についてアドバイスをしている。

 

(たうら・はじめ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業アソシエイト。2008年北海道大学法学部卒業。2010年北海道大学法科大学院卒業。2011年弁護士登録(第一東京弁護士会所属)。2019年New York University School of Law(LLM)修了。2020年ニューヨーク州弁護士登録。データプライバシー法務の他、IT・インターネット関連の案件について広くアドバイスをしている。また、会社法・M&A関連の案件を多数取り扱う。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。

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