SH3696 金融庁、ソーシャルボンドガイドライン(案)を公表 安達理/森本真美(2021/07/27)

組織法務サステナビリティ

金融庁、ソーシャルボンドガイドライン(案)を公表

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業

弁護士 安 達   理

弁護士 森 本 真 美

 

1 はじめに

 2021年7月7日、金融庁は、ソーシャルボンドガイドライン(案)(「本ガイドライン」)を公表した。2021年8月10日までパブリックコメントを募集し、その結果を踏まえ、最終的に策定される予定である。

 ソーシャルボンドに関しては、国際資本市場協会(「ICMA」)がソーシャルボンド原則を策定しており、現状では、これが唯一の国際標準である。かかるソーシャルボンド原則との整合性を踏まえつつ、わが国の特性に即したソーシャルボンドに関する指針の早期策定を求める経済界の声を受け、2021年3月、サステナブルファイナンス有識者会議の下にソーシャルボンド検討会議が設置され、ソーシャルボンドに関する実務指針について検討が行われ、今回の公表に至る。

 なお、グリーンボンドに関しては、ICMAがグリーンボンド原則を策定し、環境省がグリーンボンドガイドラインを策定している。本ガイドラインは、環境省のグリーンボンドガイドラインと基本的な構成を共通とし、また、手続等も可能な限り同様となるように定められ、ソーシャルボンド、グリーンボンドおよびこれら両方の性質を兼ね備えるサステナビリティボンドといった債券に関し、一貫性のある対応を図ることができるよう配慮された。

 本ガイドラインに法的拘束力はなく、本ガイドラインに準拠しなかったことをもって、罰則等が課されるものではない。

 

2 本ガイドラインの概要

 ⑴ ソーシャルボンドの定義

 本ガイドラインにおいて、「ソーシャルボンド」とは、発行体(民間事業法人、金融機関、独立行政法人等)が、国内外のソーシャルプロジェクトに要する資金を調達するために発行する債券であり、具体的には、①調達資金の使途が発行体により適切に評価・選定されたソーシャルプロジェクトに限定され、②調達資金が確実に追跡管理され、かつ、③それらについて発行後のレポーティングを通じ透明性が確保された債券であるとされる。

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(あだち・おさむ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー。1997年東京大学法学部卒業。1999年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2004年米国コロンビア・ロー・スクール(LLM)修了。2005年ニューヨーク州弁護士登録。国内外の証券発行、投資信託および投資法人、証券化、デリバティブ、金融取引、金融および証券規制、企業買収・合併、不動産取引、ホテルマネジメント、国際商事取引その他企業法務全般につき幅広く取り扱う。

 

(もりもと・まみ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業アソシエイト。2013年東京大学法学部卒業。2015年東京大学法科大学院卒業。2016年弁護士登録(第一東京弁護士会)。投資信託および投資法人、不動産取引、金融および証券規制、スタートアップ・ベンチャー法務その他企業法務全般につき幅広く取り扱う。

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