SH3706 証券監督者国際機構(IOSCO)、「企業のサステナビリティ開示に関する最終報告書」を公表 梅津公美(2021/08/03)

組織法務サステナビリティ

証券監督者国際機構(IOSCO)、
「企業のサステナビリティ開示に関する最終報告書」を公表

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業

弁護士 梅 津 公 美

 

1 はじめに

 近年、サステナビリティ(人間・社会・地球環境の持続可能な発展)の重要性が高まるなか、企業によるサステナビリティに関する取組みについても重要視されている。しかし、サステナビリティに関する開示については統一的な報告基準が存在しないことから、投資家にとっては、比較可能な情報が不足しており、開示を行う企業にとっても、異なる基準に基づく報告を行うことは非効率な状況にある。

 かかる状況を背景として、企業のサステナビリティ開示の改善に関する国際的な議論が進められており、証券監督者国際機構(International Organization of Securities Commissions)(IOSCO)は、2021年6月に、「企業のサステナビリティ開示に関する最終報告書」を公表した。

 

2 報告書の概要

 IOSCOとは、世界各国・地域の証券監督当局、証券取引所等から構成されている証券監督当局の国際機関であり、日本からは、金融庁、証券取引等監視委員会、日本取引所グループ等が会員として加盟している。IOSCOの公表した「企業のサステナビリティ開示に関する最終報告書」の概要および原文は、金融庁のウェブサイト[1]に掲載されている。

 報告書においては、企業によるサステナビリティ開示に関する国際的な一貫性、比較可能性および信頼性の向上を目的として、IOSCOがIFRS財団と連携してサステナビリティ報告基準の策定に向けた各種取組みを実施していくことがタイムラインとともに提言されている。報告書の概要は、以下のとおりである。

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(うめづ・さとみ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー。2008年東京大学法学部卒業。2010年東京大学法科大学院卒業。2011年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2018年カリフォルニア大学ロサンゼルス校・ロースクール(LL.M)修了。国内外の資本市場における証券発行案件に多数関与した経験を有するほか、不動産ノンリコースローン、プロジェクトファイナンスを含むストラクチャード・ファイナンス取引、フィンテック等の金融分野を中心としつつ、企業法務全般につき幅広く取り扱っている。

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