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SH3714 事例から学ぶサステナビリティ・ガバナンスの実務(1)―花王の取組みを参考に― 森田多恵子/安井桂大(2021/08/12)

組織法務サステナビリティ

事例から学ぶサステナビリティ・ガバナンスの実務(1)
―花王の取組みを参考に―

西村あさひ法律事務所

弁護士 森 田 多恵子

弁護士 安 井 桂 大

 

 旬刊商事法務2270号(8月5・15日合併号)から連載が開始された「サステナビリティ委員会の実務」では、第1回目として花王の取組みを紹介した。本稿では、花王の取組みを参考に、サステナビリティ委員会を設置する意義および体制全体を構築していく際の実務上のポイントについて解説する。

 

1 CSR委員会のサステナビリティ委員会への改組

 花王においては、従前のCSR委員会を発展的に改組するかたちで、2010年にサステナビリティ委員会が設置されている。日本企業においては、CSRの役割を担う委員会が設置されている例が少なくないが、「CSR」と「サステナビリティ」とでは、その目的・位置づけが異なっており、サステナビリティに関する取組みをとらえ直す観点から、あえてサステナビリティ委員会という形に改組した花王の取組みは、多くの企業にとっても参考になるものであろう。

 本年6月に公表されたコーポレートガバナンス・コードの改訂版においても示されているとおり、サステナビリティをめぐる課題への取組みは、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な取組みであるが(補充原則2-3①)、その推進のためには、経営のリーダーシップとともに、従業員の意識改革も欠かせない。花王においては、そうした意識改革を社内で浸透させる体制としても、サステナビリティ委員会が効果を発揮しているものと思われる。

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(もりた・たえこ)

西村あさひ法律事務所弁護士(2004年弁護士登録)。会社法・金商法を中心とする一般企業法務、コーポレートガバナンス、DX関連、M&A等を取り扱う。消費者契約法、景品表示法等の消費者法制分野も手がけている。主な著書(共著含む)として、『持続可能な地域活性化と里山里海の保全活用の法律実務』(勁草書房、2021年)、『企業法制の将来展望 – 資本市場制度の改革への提言 – 2021年度版』(財経詳報社、2020年)、『デジタルトランスフォーメーション法制実務ハンドブック』(商事法務、2020年)、『債権法実務相談』(商事法務、2020年)など。

 

 

(やすい・けいた)

西村あさひ法律事務所弁護士(2010年弁護士登録)。2016-2018年に金融庁でコーポレートガバナンス・コードの改訂等を担当。2019-2020年にはフィデリティ投信へ出向し、エンゲージメント・議決権行使およびサステナブル投資の実務に従事。コーポレートガバナンスやサステナビリティ対応を中心に、M&A、株主アクティビズム対応等を手がける。主な著作(共著含む)として、『コーポレートガバナンス・コードの実践〔第3版〕』(日経BP、2021年)、「改訂コーポレートガバナンス・コードを踏まえたサステナビリティ対応に関する基本方針の策定とTCFDを含むサステナビリティ情報開示」(資料版商事法務448号、2021年)など。

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