台湾:再生可能エネルギーの最近の動向(1)
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 德地屋 圭 治
再生可能エネルギーの導入、普及は世界的潮流であり、日本においては2011年東日本大震災を契機に再生可能エネルギーが期待されるようになり普及が進んだが、台湾でも、再生可能エネルギーの導入、普及が進んでおり、台湾の再生可能エネルギーは、日本企業による台湾投資の重要な分野の一つになりつつある。本稿では、台湾の再生可能エネルギーの現状や最近の動向のほか、若干の法的実務上の留意点なども紹介したい。
1 台湾のエネルギーに関する政策及び現状
⑴ 背景
(エネルギー政策上の課題)
台湾は化石燃料など資源に乏しく、エネルギー資源の97.8%(2020年)を輸入に頼っており、国際情勢などの影響を容易に受けるなどエネルギー安定供給が課題である。また、台湾のエネルギー構造における化石燃料の割合が高い点は温室効果ガス削減という世界的な要請に反する問題である。さらに、台湾の原子力発電所は人口密集地に比較的近く、日本の2011年東日本大震災の後、原子力発電のリスクや核処理廃棄物について注目されるようになった。
(新たなエネルギー政策)
2016年に現在の蔡英文総統政権に政権が変わった後、2017年に新たなエネルギー政策である「エネルギー発展綱領」及び「グリーンエネルギー科学技術産業刷新推進方案」などが発表された。これらにおいては、2025年までに原子力発電をゼロとし再生可能エネルギーの割合を20%とするなどの目標が掲げられた。
再生エネルギーに関する政策目標数値は、太陽光発電及び風力発電について以下の通りである。
種類 | 2025年目標設置容量 | ||
太陽光発電 | 屋根置型 | 3GW | 20GW |
地面置型 | 17GW | ||
風力発電 | 陸上型 | 1.2GW | 6.7GW |
洋上型 | 5.5GW |
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(とくじや・けいじ)
長島・大野・常松法律事務所パートナー、上海オフィス一般代表。2003年東京大学法学部卒業。第二東京弁護士会所属。2011年University of California, Berkeley, School of Law卒業(LL.M.)、2013年Peking University Law School卒業(LL.M.)。豊富な海外法務の経験を有する(Zhong Lun、Lee and Liで研修)。
M&Aを中心に国内企業法務分野を取り扱うとともに、海外(中国大陸・台湾を含む)の企業の買収、海外企業との紛争解決、現地日系企業に関するコンプライアンス、危機管理・不祥事対応等企業法務全般に関して日本企業に助言を行っている。
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