SH3848 環境省、「機関投資家の責任ある企業行動(仮訳)」、「責任ある企業融資と証券引受のためのデュー・ディリジェンス(仮訳)」を公表 佐橋雄介(2021/12/07)

組織法務経営・コーポレートガバナンス

環境省、「機関投資家の責任ある企業行動(仮訳)」、「責任ある企業融資と証券引受のためのデュー・ディリジェンス(仮訳)」を公表

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業

弁護士 佐 橋 雄 介

 

1 はじめに

 2021年11月15日、環境省は、グリーンファイナンスポータル(グリーンボンドの発行支援を行う者の登録・公表、発行事例の情報共有や国内外の動向分析・情報発信等を行うウェブサイト)において、「機関投資家の責任ある企業行動:OECD多国籍企業行動指針に基づくデュー・ディリジェンスに関して考慮すべき重要な事項[1](仮訳)」および「責任ある企業融資と証券引受のためのデュー・ディリジェンス:OECD多国籍企業行動指針を実施する銀行等のための主な考慮事項[2](仮訳)」(併せて、以下「本仮訳」といい、その原文を「本ガイダンス」という。)を公表した。

 近年、欧米を中心に、サプライチェーンを通じたデュー・ディリジェンス(以下「DD」という。)の実施を求める動きが強まっている。2011年に改訂された経済協力開発機構(OECD)の「OECD多国籍企業行動指針」[3](以下「OECD行動指針」という。)において、企業行動による悪影響を特定し、防止、緩和するDDプロセスについて、「ビジネスと人権に関する指導原則」[4]が求める人権分野に加え、環境を含む同行動指針の対象となっている事項すべてに渡って実施することを奨励している。また、2018年には、企業がOECD行動指針を実施するための実務的な支援を提供することを目的として、「責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス」[5]以下「OECDガイダンス」という。)が公表された。

 本ガイダンスは、OECD行動指針やOECDガイダンスに示されたDDの実施に関して、主に金融セクター関係者に向けた実務上の考慮要素を詳細に示したガイダンスであり、本仮訳はその日本語訳である。

 なお、OECD行動指針やOECDガイダンスにおいて、DDとは、「自らの事業、サプライチェーンおよびその他のビジネス上の関係における、実際のおよび潜在的な負の影響を企業が特定し、防止し軽減するとともに、これら負の影響へどのように対処するかについて説明責任を果たすために企業が実施すべきプロセス」であり、継続的に行われるべきものと説明され、本ガイダンスにおいても同様の意味において用いられている。M&Aや不動産取引などの特定の取引における投資対象の調査やリスク把握のプロセスとは異なる概念であることに注意が必要である。

 

2 OECD行動指針やOECDガイダンスに示されたDDの概要

 本ガイダンスは、OECD行動指針やOECDガイダンスに示されたDDの基礎的内容やプロセスを踏まえ、機関投資家または銀行等に向けて調整された実務上の考慮要素を詳細に示すものである。そこで、まずは、OECD行動指針やOECDガイダンスに示されたDDの概要を示す。

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(さはし・ゆうすけ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー。2006年東京大学法学部卒業。2008年弁護士登録(2016年愛知県弁護士会に登録替)。2015年University of Southern California(LLM)修了。2015-2016年フランスのMcDermott Will & Emery法律事務所勤務。2016年ニューヨーク州弁護士登録。日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)。主に国内外の企業買収、組織再編、ジョイントベンチャー等のM&A案件や一般企業法務、商取引等のコーポレート案件を取り扱っている。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

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