環境省、グリーンファイナンスに関する検討会を開催
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業
弁護士 佐々木 慶
環境省は、2021年12月16日、グリーンファイナンスに関する検討会(「GF検討会」)の第1回を開催した。環境省ウェブサイトで公開されている配布資料によれば4回の検討会[1]が予定されている(2022年2月1日に第2回GF検討会が開催された。)。本項ではGF検討会に至るまでの過去の関連する国内外の取組みに触れた上で、GF検討会の目的等について概説する。
1 GF検討会までの国内外の取組み
GF検討会の開催要領によると、GF検討会は「国際的な議論の動向や、国内の各主体による施策の進展等を踏まえ、我が国のサステナブルファイナンス市場をさらに健全かつ適切に拡大していく観点から」設置されたものである。わが国によるグリーンファイナンス(環境対策全般を目指すファイナンス)に関するガイドライン作成に関する取組みとしては、環境省による「グリーンボンドガイドライン2017年版」の策定が大きな第一歩であったといえよう。
国際的な取組みとしては、まず債券について、The International Capital Market Association(「ICMA」、国際資本市場協会)が2014年にGreen Bond Principles(「GBP」、グリーンボンド原則)を発行し、その後もGBPの改訂や、Social Bond Principles (ソーシャルボンド原則)、Sustainability Bond Guidelines(サステナビリティボンドガイドライン)およびSustainability-Linked Bond Principles (「SLBP」、サステナビリティ・リンク・ボンド原則)などを発行・改訂し、この分野の発展に大きな影響を与えてきた。また、ローンについては、Green Loan Principles(「GLP」、グリーンローン原則)がLoan Market Association(「LMA」、ローン・マーケット・アソシエーション)、Asia Pacific Loan Market Association(「APLMA」、アジア太平洋ローン・マーケット・アソシエーション)およびLoan Syndications & Trading Association(「LSTA」、ローン・シンジケーション&トレーディング・アソシエーション)でグリーンボンド原則を参考に作成され、同様に発展を遂げてきた。
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(ささき・けい)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー。2004年東京大学法学部卒業。2005年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2012年米国ニューヨーク大学ロースクール(LLM)修了。2014年ニューヨーク州弁護士登録。バンキング、不動産ファイナンス、プロジェクトファイナンス、ファンド、信託取引、フィンテックなど金融取引を幅広く取り扱う。
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