SH4011 経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案(閣法第37号)可決成立 松本拓/武士俣隆介/北村健一(2022/05/31)

組織法務経済安保・通商政策

経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案(閣法第37号)可決成立

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業

弁護士 松 本   拓

弁護士 武士俣 隆 介

弁護士 北 村 健 一

 

1 はじめに

 米中の貿易紛争に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大、ロシアによるウクライナ侵攻等を受け、各国で経済安全保障に対する関心が一層高まっている。このような状況の中で、わが国では、2022年5月11日に「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律」、いわゆる経済安全保障推進法(以下「経済安全保障推進法」という。)が参議院本会議で可決され成立した。

 経済安全保障推進法は、性質の異なる次の4つの柱から構成されている。幅広い業種が対象となるため、影響を受ける事業者の範囲が広範である。

  1. ⑴ 重要物資や原材料のサプライチェーンの強靭化
  2. ⑵ 基幹インフラ機能の安全性・信頼性の確保
  3. ⑶ 官民で先端的な重要技術を育成・支援する仕組み
  4. ⑷ 特許出願の非公開化等による機微な発明の流出防止

 なお、本稿は2022年5月11日に成立した経済安全保障推進法および経済安全保障推進法案に関する政府関係資料をもとに作成されており、今後制度の内容に追加・変更が生じる可能性がある点にご留意されたい[1]

 

2 日本の経済安全保障法制

(内閣官房web 経済安全保障推進法案の概要[2] 1頁より引用)

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(まつもと・たく)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー(弁護士・ニューヨーク州弁護士)。主要な業務分野は、①M&A・投資、②経済安全保障・通商、③アウトバウンド・インバウンド、④スタートアップ法務・投資、⑤ウェルス・マネジメント及び⑥競争法関連。2012年インドネシアのSSEK法律事務所勤務、2016年コロンビア大学・ロースクール(LLM)修了、2016年~2017年米国のSeward & Kissel法律事務所勤務。https://www.amt-law.com/professionals/profile/TUM

 

(ぶしまた・りゅうすけ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業アソシエイト。2007年東京大学法学部卒業。2007年−2011年武田薬品工業株式会社法務部勤務。2013年東京大学法科大学院修了。2014年弁護士登録。2020年ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンス(LL.M.)修了。主な業務分野として、アウトバウンド・インバウンド、経済安全保障・通商、ライフサイエンス・ヘルスケア、倒産関連の案件を取り扱う。著作『医薬・ヘルスケアの法務——規制・知財・コーポレートのナビゲーション』(共著)(商事法務、2018)ほか。

 

(きたむら・けんいち)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業アソシエイト。2019年東京大学法学部卒業。2020年弁護士登録。論文「知財法務の勘所Q&A (第55回) 欧州委員会による技術開発カルテル認定の衝撃」(知財ぷりずむ、2022)。

 

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。

<連絡先>
〒100-8136 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング

 

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