SH4023 中国:上海ロックダウンとその影響、関連する法律問題(2) 若江悠(2022/06/10)

取引法務そのほか契約書作成・管理

中国:上海ロックダウンとその影響、関連する法律問題(2)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 若 江   悠

(承前)

2 工場の操業停止、操業再開に関する契約問題

 上海市は、4月16日に「上海市工業企業操業再開防疫対策ガイドライン(第1版)」(その後5月3日に第2版に更新)を出すとともに、自動車、医療医薬、半導体など、操業再開を認める重要企業666社のホワイトリストを発表し、その後も条件を満たした企業について操業再開を順次認めているようである。とはいえ、上海日本商工クラブの調査(4月末実施、5月5日公表)によれば、操業許可が下りている企業は37%にすぎず、また稼働している工場についても通常の3割以下の生産にとどまっている。取引先(サプライヤー及び納入先)の稼働状況や物流の影響のほか、従業員の居住地を管轄する居民委員会の許可を得て工場に来てもらう必要があり、その上で、操業再開の前提として求められる「閉環」管理の条件、たとえば従業員を工場の敷地内にて寝泊まりさせ、PCR検査を毎日実施するなどの要件を満たすことも、本格的な稼働再開に向けたハードルになっているようである。

 このような状況で、各種契約の期限通りの履行が困難となり、又は拘束力のある個別契約はないとしても重要な顧客からの供給計画に従った注文の受注ができないといった事態が発生している。暫定的に自社の中国国内や日本の他拠点での生産に切り替えたり、他のメーカーに製造委託を実施したりするなどの対応もみられるが、履行が遅滞し又は不能となる場合も生じている。

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(わかえ・ゆう)

長島・大野・常松法律事務所パートナー。2002年 東京大学法学部卒業、2009年 Harvard Law School卒業(LL.M.、Concentration in International Finance)。2009年から2010年まで、Masuda International(New York)(現 NO&Tニューヨーク・オフィス)に勤務し、2010年から2012年までは、当事務所提携先である中倫律師事務所(北京)に勤務。 現在はNO&T東京オフィスでM&A及び一般企業法務を中心とする中国業務全般を担当するほか、日本国内外のキャピタルマーケッツ及び証券化取引も取り扱う。上海オフィス首席代表を務める。

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

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