SH4133 文化審議会著作権分科会法制度小委員会における著作権制度の見直しに向けた議論の最新動向 後藤未来/鷲見彩奈(2022/09/13)

取引法務特許・商標・意匠・著作権

文化審議会著作権分科会法制度小委員会における
著作権制度の見直しに向けた議論の最新動向

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業*

弁護士 後 藤 未 来

弁護士 鷲 見 彩 奈

 

1 はじめに

 筆者らの別稿[1]で紹介したように、内閣の知的財産戦略本部による「知的財産推進計画2022」も踏まえ、今期の文化審議会著作権分科会法制度小委員会(以下「本委員会」という。)においては、以下の4つの事項について著作権法改正の検討が進められている。本稿では、メタバースを含むWeb3.0時代に向けた制度基盤の一つとしても注目される下記①を中心に、直近の委員会(令和4年8月30日開催)での議論の内容を概観する[2]

 

① 簡素で一元的な権利処理と対価還元の制度化について
② 損害賠償額の算定方法の見直しについて
③ 研究目的にかかる権利制限規定の検討について
④ 立法・行政のデジタル化に対応した内部資料の公衆送信等について

 

2 簡素で一元的な権利処理と対価還元の制度化について[3]

 Web3.0時代を迎え、メタバースやNFTの普及が進むことにより、コンテンツの創作・流通・利用の可能性が飛躍的に増大していくことが予想される中、過去コンテンツ、UGC、権利者不明の著作物を始め、著作権等管理事業者が集中管理していないものを含む膨大かつ多種多様な著作物等について、簡素で一元的な権利処理を可能とし、著作物の利用の円滑化と権利者への適切な対価還元の両立が目指されている。

⑴ 新たな制度のイメージ(案)

 本小委員会の公表資料によれば、「簡素で一元的な権利処理と対価還元の制度化」として検討されているイメージは、下図のようなものとされる。

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(ごとう・みき)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。

 

(すみ・あやな)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2014年東京大学法科大学院卒業。2015年弁護士登録(第二東京弁護士会)。主な取扱い分野は、知的財産法、個人情報保護法。

 

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。

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* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用。
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