SH4157 厚労省、「プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン(改定案)」の意見募集を開始 齋藤弘樹(2022/10/07)

そのほか

厚労省、「プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン(改定案)」の意見募集を開始

岩田合同法律事務所

弁護士 齋 藤 弘 樹

 

1 はじめに

 令和4年9月26日、厚生労働省はプログラムの医療機器該当性に関するガイドライン(以下「本件ガイドライン」という。)の改定案を公表した。

 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律145号。以下「薬機法」という。)では、物理的な医療機器のみならず、医療機器に該当するプログラムについても規制対象としている(薬機法2条4項、薬機法施行令1条及び別表第1)。

 これにより、疾病の診断・治療・予防用のプログラムは、副作用又は機能の障害が生じた場合においても人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないものを除き「医療機器」に該当するとされている。その結果、事業者は、疾病の診断・治療・予防用のプログラムの製造業や製造販売業を営むために厚生労働大臣の登録や許可が必要となるという規制(薬機法23条の2の3、同23条の2)や、品目ごとにその製造販売について厚生労働大臣の承認が必要となる(同第23条の2の5)などといった規制を受けることになる。

 本件ガイドラインは、プログラムの開発者に対して、薬機法における医療機器該当性の判断の参考となる情報を提供することでプログラム開発に係る事業の予見可能性を高めることを目的として策定されたものである。

 近年、新たにAIを利用して疾病の診断・治療・予防に役立つITサービスを提供しようと考える企業は増えているように思われるが、それらの企業にとって自社のプログラムが医療機器に該当し上記の規制を受けるか否かは関心事項となるように思われる。そこで、本稿では本件ガイドラインの変更点を中心に、医療機器該当性の基本的な考え方を説明したい。

 

2 現行版と改定案の相違点

 ⑴ 構成等

 本件ガイドラインの現行版と改定案を比較すると「3 該当性判断」、「4 除外基準」(改定案では「4 医療機器プログラムに該当しない事例」)、「5 該当性判断の手順」といった項目から構成されていることに変わりはなく、内容にも大きな変更点はない。また、薬機法の規制対象とならないプログラムの判断事例集や医療機器該当性について判定するためのフローチャートが作成されている点も同様である[1]

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(さいとう・ひろき)

岩田合同法律事務所カウンセル。2010年東京大学法学部卒業。2012年東京大学法科大学院修了。2013年弁護士登録。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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