SH4173 経産省、第1回対日M&A課題と活用事例に関する研究会を開催 佐橋雄介/小塚満里鈴(2022/10/25)

組織法務M&A・組織再編(買収防衛含む)

経産省、第1回対日M&A課題と活用事例に関する研究会を開催

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 佐 橋 雄 介

弁護士 小 塚 満里鈴

 

1 はじめに

 経済産業省(以下「経産省」という。)は、2022年9月22日、「対日M&A課題と活用事例に関する研究会」(座長:宮島英昭)(以下「本研究会」という。)第1回会合を開催した。

 

2 開催に至る経緯

 対日直接投資は、海外から高度な人材・技術・豊富な資金を呼び込むことでイノベーションを創出するとともに海外経済の活力の地方への取り込みにつながり、日本経済全体の成長力の強化や地域経済の活性化に貢献するものであることから、今般、政府全体でこれを進める取組が行われている。

 具体的には、内閣府において、2014年度から対日直接投資推進会議を開催し、2021年6月に「対日直接投資促進戦略」[1]を策定するとともに、その取組の1つとして、経産省において、2021年度に「国内外への更なる投資促進のための方策に関する調査検討事業」(以下「本調査検討」という。)[2]を実施し、対日直接投資の手法の1つである対日M&Aを取り巻く現状と課題についての検討がなされた。

 その結果、対日M&A自体は総取引額、件数ともに増加傾向であるものの、先進国と比較して、対日M&Aが対日直接投資において占める割合は小さいことが判明した。また、本調査検討の結果、対日M&Aの推進に向けた課題として、M&Aの対象となる日本企業自身の生産性向上等魅力を向上させることに加え、対日M&Aの対象となる企業・事業を顕在化させることが挙げられた。そして、特に後者の課題を解決するに当たっては、日本企業における戦略的な事業売却等の経営判断の適正化を促進することや、日本企業の経営陣に戦略的事業売却の効果・意義を浸透させることが重要であるとされた。

 そこで、外国企業および海外PEファンドによる日本企業のM&Aとその後の経営にかかる実態や課題を分析した上で、対日M&Aを活用した戦略的な事業売却の事例をまとめた事例集を作成し、日本企業等に対してこれを発信することで、対日M&Aの効果・意義を周知することを目的として本研究会が開催された。

この記事はプレミアム向けの有料記事です
ログインしてご覧ください


(さはし・ゆうすけ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2006年東京大学法学部卒業。2008年弁護士登録(2016年愛知県弁護士会に登録替)。2015年University of Southern California(LLM)修了。2015-2016年フランスのMcDermott Will & Emery法律事務所勤務。2016年ニューヨーク州弁護士登録。日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)。主に国内外の企業買収、組織再編、ジョイントベンチャー等のM&A案件や一般企業法務、商取引等のコーポレート案件を取り扱っている。

 

(おづか・まりりん)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2017年一橋大学法学部卒業。2018年弁護士登録(第二東京弁護士会)。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。

<連絡先>
〒100-8136 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング

 


* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用。

タイトルとURLをコピーしました