メタバースをめぐる法的課題への対応に関する官民連携会議の動向
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 後 藤 未 来
弁護士 中 島 滉 平
1 はじめに
内閣の知的財産戦略本部により策定された「知的財産推進計画2022」[1]でも指摘されるとおり、今後のメタバースの更なる拡大に伴い、仮想オブジェクトやその取引、アバターを通じて行うさまざまな行為等をめぐり新たな法的課題が生じていくことが想定される。これらの新たな法的課題について、官民一体となったルール整備に関する検討等を行うべく、「メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題への対応に関する官民連携会議」(以下「本官民連携会議」という。)が設置され、その第1回会合が2022年11月21日に開催された[2]。
本稿では、メタバースをめぐる法的課題等への取組に関する国内外の動向を振り返りつつ、本官民連携会議において検討が予定される事項やその方向性等について概観する。
2 メタバースをめぐる法的課題等への取組等に関する国内外の動向
2022年5月25日、世界経済フォーラムは、公平で、相互運用的で、安全なメタバース環境を構築すべく、新たな官民の国際連携枠組みとして、「Defining and Building the Metaverse」を立ち上げたことを発表した[3]。この枠組みには、マイクロソフトやMeta(旧Facebook)を含む60社を超える企業のほか、研究機関や政府機関が参加するとされる。このほかにも、メタバースに関する国際的な団体として以下のものが設立されている。
出典:内閣知的財産戦略本部
「メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題等への対応に関する参考資料」[4] 2頁
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(ごとう・みき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。