ベトナム:労働法Q&A 年休日勤務の時間外労働手当
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 澤 山 啓 伍
ベトナム弁護士 Tran Thi Viet Nga
Q: 管轄の労働局から、年度中に年次有給休暇(以下「年休」)を全て取得しなかった労働者に対して、年休取得日に労働したものとしてその日の賃金の300%相当分を時間外労働手当として追加で支払うようにとの指導がありました。このような指導は正しいのでしょうか?
A:
一部の労働局でご質問にあるような解釈を主張してくる実例が複数あったと認識しています。しかし、その解釈は不合理であると考えます。実際、この問題についての解釈の明確化・統一化を求める声が強かったようで、労働傷病兵社会省法務局が、各地の労働局等に宛てた2022年7月20日付公文書第308/CP-PC号(以下「公文書308号」)を発行し、その中で労働省として上記の解釈を否定する統一見解を公表しています。その内容に沿って解説します。
まず、公文書308号では、そもそも年休について労働法上以下の3つの原則があることを確認しています。
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(さわやま・けいご)
2004年 東京大学法学部卒業。 2005年 弁護士登録(第一東京弁護士会)。 2011年 Harvard Law School卒業(LL.M.)。 2011年~2014年3月 アレンズ法律事務所ハノイオフィスに出向。 2014年5月~2015年3月 長島・大野・常松法律事務所 シンガポール・オフィス勤務 2015年4月~ 長島・大野・常松法律事務所ハノイ・オフィス代表。
現在はベトナム・ハノイを拠点とし、ベトナム・フィリピンを中心とする東南アジア各国への日系企業の事業進出や現地企業の買収、既進出企業の現地でのオペレーションに伴う法務アドバイスを行っている。
(Tran Thi Viet Nga)
2016年Hanoi Law University及び名古屋大学日本法教育研究センター(ハノイ)卒業後、長島・大野・常松法律事務所ハノイオフィスに入所。2020年ベトナム弁護士資格を取得。日系企業の事業進出に伴う手続きや法務、現地企業の売買、既進出企業の現地でのオペレーションに伴う法務(事業拡大のための法令調査、紛争、労務、取引契約レビュー等)を担当。
長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/
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