☆中国:新型コロナウイルスの影響まとめ(速報) 川合正倫(2020/05/15)

2020年5月14日号
中国:新型コロナウイルスの影響まとめ(速報)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 川 合 正 倫

はじめに

 政府対策本部により緊急事態宣言が5月31日まで延長される一方で、都道府県レベルでは地域ごとの感染状況に応じた社会経済活動の再開に向けた方針の発表が相次いでいます。海外においても、各国において経済活動の再開に向けた具体的なロードマップの発表が続いており、一部の国や地域では既に緩和措置が開始されていますが、その判断基準や緩和手順は一様ではなく、また、感染拡大の第二波の兆候が顕れている国もあり、引き続き企業にとってはビジネス再開の見通しが不透明な状況が続いています。

 本記事では速報ベースで各国の方針や影響拡大状況の概要につきお知らせ致します。なお、本記事は感染拡大が続く間、不定期に配信していきたいと思いますが、同感染症の拡大状況については日々状況が変化している中、本記事の内容がその後変更・更新されている可能性については十分ご留意の上参照ください。本記事の内容は、特段記載のない限り、日本時間2020年5月13日夜時点で判明している情報に基づいています。

 

全体概況  死亡者:4,633人、感染者数(累計):82,919人(5月12日現在)

 直近では、湖北省や吉林省において単発的に国内症例が発生しているものの、新規感染の大部分は国外からの帰国者による輸入症例という状況が継続しており、中国国内の企業は概ね本格的に事業を再開している。外国人の入国は原則として禁止されているが、韓国からの入国者に対して特定の地域へのビジネス目的での入国を例外的に認めるなど、新たな動きも見られる。

 

主な政府発表

  1. ・ 最高人民法院は「新型肺炎ウイルスに関連する民事案件の法律に従う適切な審理に関する若干の問題に関する指導意見(一)」を公表し、不可抗力の適用、労務問題の処理、懲罰性賠償の適用、訴訟時効の中断、訴訟期間の延長等について実務上の指針を示した。
  2. ・ 「医療物資輸出の規範的な展開に関する公告」及び「防疫物資の輸出品質管理の一層の強化に関する通知」等により、中国から国外への医療物資やマスクの輸出管理が強化されている。

 

渡航情報

  1. ・ 中国外務省は3月28日から、原則として全外国人の入国を一時停止する措置を適用し、有効なビザや居留許可を持っていても入国できない。例外的に入国が許可される場合は、外交、公務、礼遇、乗務員ビザで入境する場合並びに外国人が訪中して必要な経済貿易、科学技術等の活動に従事する場合及び緊急の人道主義の必要に基づく場合で中国の在外公館に申請して査証を取得した者に限定されている。もっとも、5月に入ってから韓国からの入国者に対して特定地域へのビジネス目的での入国を例外的に認めるなど、新たな動きもみられる。

 

その他

  1. ・ 北京市は「重大突発公共衛生事件」レベルを4月30日から2級に引き下げた。また、国内の低リスク地域から北京への移動者に対しては、14日間の隔離措置を求めず、ホテルを利用する際のPCR検査結果の証明の提出も不要となることも発表された。また、新規感染者の顕著な減少を受け、延期されていた全国人民代表大会が5月22日から開催されることとなった。
  2. ・ 上海市は「重大突発公共衛生事件」レベルを5月9日から最低の3級に引き下げた。公立学校のみならず上海ディズニーランド等も防疫措置をとった上で段階的に再開されている。街中を出歩く人も増加しており、新型コロナウイルス感染拡大前の活気を取り戻しつつある。

(かわい・まさのり)

長島・大野・常松法律事務所上海オフィス一般代表。2011年中国上海に赴任し、2012年から2014年9月まで中倫律師事務所上海オフィスに勤務。上海赴任前は、主にM&A、株主総会等のコーポレート業務に従事。上海においては、分野を問わず日系企業に関連する法律業務を広く取り扱っている。クライアントが真に求めているアドバイスを提供することが信条。

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

長島・大野・常松法律事務所は、約500名の弁護士が所属する日本有数の総合法律事務所です。企業法務におけるあらゆる分野のリーガルサービスをワンストップで提供し、国内案件及び国際案件の双方に豊富な経験と実績を有しています。

当事務所は、東京、ニューヨーク、シンガポール、バンコク、ホーチミン、ハノイ及び上海にオフィスを構えるほか、ジャカルタに現地デスクを設け、北京にも弁護士を派遣しています。また、東京オフィス内には、日本企業によるアジア地域への進出や業務展開を支援する「アジアプラクティスグループ(APG)」及び「中国プラクティスグループ(CPG)」が組織されています。当事務所は、国内外の拠点で執務する弁護士が緊密な連携を図り、更に現地の有力な法律事務所との提携及び協力関係も活かして、特定の国・地域に限定されない総合的なリーガルサービスを提供しています。

詳しくは、こちらをご覧ください。

タイトルとURLをコピーしました