◇SH2507◇金融庁フォローアップ会議、当面の課題に「検討の方向性を示す」意見書案を審議 (2019/04/25)

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金融庁フォローアップ会議、当面の課題に「検討の方向性を示す」意見書案を審議

――ガバナンス改革の議論は「市場構造の見直し」の動向を踏まえて――

 

 「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(座長・池尾和人立正大学教授。事務局は金融庁および株式会社東京証券取引所)の第19回会合が4月10日、前回・3月5日開催の会合に引き続き「コーポレートガバナンス改革の更なる推進に向けた検討課題」を議題として開催された。同会議による4回目の提示となる意見書「コーポレートガバナンス改革の更なる推進に向けた検討の方向性」の取りまとめに向けた審議が行われている(前回会合について、SH2406 金融庁、ガバナンス改革の推進で今後の検討課題を提示 (2019/03/15)既報)。

 当日の会合で「案」として示された今般の意見書は「Ⅰ.はじめに」「Ⅱ.スチュワードシップ」「Ⅲ.コーポレートガバナンス」「Ⅳ.おわりに」の4章からなる。2018年11月27日に開かれた第16回会合に始まる今事務年度の審議を総括するものとなっており(同日の会議の概況については、SH2235 コーポレート・ガバナンス改革の深化に向けた取組みの現状が明らかに(2018/12/06)既報)、上記「Ⅱ」では「1.運用機関」「2.企業年金等のアセットオーナー」「3.サービスプロバイダー」を、「Ⅲ」では「1.監査に対する信頼性の確保」「2.グループガバナンスの在り方」を取り上げている。ただし、とくに上場子会社に関して経済産業省においても検討が進む「グループガバナンスの在り方」について(SH2369 経産省、「グループ・ガバナンス・システム」で実務指針の骨子案を提示 (2019/02/28)参照)、「一般株主保護等の観点からグループガバナンスの在り方に関する検討を進める」とするなど、現状の(A)スチュワードシップ・コードまたは(B)コーポレートガバナンス・コードについて即・改訂を必要とする意見は表明されておらず、「おおむね3年毎の見直しが予定されているスチュワードシップ・コードの更なる改訂も視野に入れた議論が更に深められていくことを期待している」といった位置付けだ。

 上記「Ⅱ」の「3.サービスプロバイダー」とは、同会議においてこれまでに検討してきた「(1)議決権行使助言会社」「(2)運用コンサルタント」を俎上に乗せるもの。議決権行使助言会社については、(ア)十分かつ適切な人的・ 組織的体制の整備、(イ)これを含む助言策定プロセスの具体的な公表、(ウ)開示された情報に基づく判断のみならず、自らと企業との対話の積極的な実施が「期待される」としている。運用機関としても、議決権行使助言会社の活用状況については(a)利用する議決権行使助言会社名、(b)運用機関における助言内容の確認の体制、(c)具体的な活用方法等に関する「より詳細な情報の公表を促すことが重要である」と指摘した。

 また、「コーポレートガバナンスは市場構造の在り方と密接な関連を有する」として、東証において検討が進む市場構造・市場区分の見直し(SH2476 東証、市場構造の改善に向けて論点整理 (2019/04/12)既報)を意識しながら、コーポレートガバナンス改革のさらなる進展に向けた議論については「各市場の性格が明確化されていく中で、それにふさわしいガバナンスの在り方等も念頭に置きつつ」進めていく必要性に言及した。

 

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