◇SH2541◇GPIF、ESG情報の開示を巡り調査研究結果を公表 (2019/05/17)

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GPIF、ESG情報の開示を巡り調査研究結果を公表

――「具体的にどのような情報を開示すべきか」に一定の指針を示す――

 

 年金積立金管理運用独立行政法人は4月25日、報告書「ESGに関する情報開示についての調査研究」の概要を同法人(以下「GPIF」という)のウェブサイト上に掲載・公表した。

 Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)に関する上場企業の取組みとその情報開示について、ニッセイアセットマネジメントがGPIFから委託を受けた調査研究をまとめたものであり「必ずしもGPlFの見解を反映しているとは限りません」としている。2019年3月末現在での作成となる。

 GPIFとしては国内株式におけるESG指数の選定、国内外の株式における環境指数の選定といった取組みを進めており、企業によるESG情報開示が重要であるところ、国内上場企業による開示には積極的な企業と進まない企業とで二分されている状況があることから市場全体の底上げが重要であるとの背景がある。一方、国内外において開示に関するスタンダード(基準)・フレームワーク・ガイドライン等が相次いで策定され、企業のESG情報開示の現場では混乱が生じているとの指摘もあることから、開示のさらなる充実化などに資するよう本調査研究結果が公表されたものである。

 本調査研究(概要)ではまずESG情報開示基準等を整理、比較分析している。主な経緯・特徴を挙げながら類型化したうえで(1)国際統合報告フレームワーク、(2)GRIスタンダード、(3)SASBスタンダード、(4)TCFD最終提言書については企業の活用状況を紹介しつつ、「エンドユーザーである投資家のESG投資戦略によって、重視されるESG情報の性質が異なる」こと、「企業のlRにおいては、幅広い情報ニーズに応えるESG情報開示が理想的」であることから「効果的・効率的なlRに向けては、まずは『共通点』を意識し、重点的に取り組むことが有効」と指摘。

 結果、「ガバナンス」「マテリアリティの特定」「ESGリスク・機会の認識等」「戦略・取組み等」「実績(KPl)等」が共通点であるとし、これら5つの共通項目の関係性を整理するほか、(ア)「ガバナンス」「ESGリスク・機会の認識等」「戦略・取組等」については上記(3)SASBスタンダードが業種・ESG課題レベルで具体化した開示項目・指標を設定しており、SASBスタンダードがおおむね共通点と考えられること、(イ)「実績(KPl)等」については(2)GRlスタンダードと(3)SASBスタンダードがそれぞれESG課題別に具体的な指標を設定しており、これらの一部が共通していることを述べている。

 本調査研究(概要)では、他に「ESG情報開示基準等の共通点に対する企業の開示状況の分析」「機関投資家(年金基金および運用機関)によるESG情報開示」を示すとともに、企業(lR)への提言のみならず年金基金に向けた提言も行っている。適宜参考とされたい。

 

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