ベトナム:ベトナムでの日本語学校の買収
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 澤 山 啓 伍
日本での改正入国管理法の施行を受け、外国人材の活用の機運が高まっている。近年ベトナムからの技能実習生の受入人数は、国別で第一位になっており、多くの日本企業が、ベトナムからの人材の受け入れに関心を有している。このような流れを受けて、優秀な人材を日本企業に紹介するため、ベトナムで日本語学校を運営して人材の囲い込みと就職後に必要な知識の教育を施したい、というご意向をよくお聞きする。
ベトナムにおける日本語学校に対する外国投資については、現行の法令上特に出資比率の上限は定められていないため、外国企業が100%外資の日本語学校を設立することもできるし、既存の日本語学校の持分の100%を取得することも可能である。
ただし、ベトナムにおいて外国語学校の運営に関して適用される法令は、その外国語学校が内国資本である場合は政令第46/2017/ND-CP号、外国資本を含む場合は政令第86/2018/ND-CP号と、異なっている。その結果、外国語学校の運営に必要なライセンスの付与条件にも違いがあり、外資の場合、内国資本の場合には必要とされない以下の条件を満たす必要がある。
必要な他の許認可 |
投資登録証明書及び企業登録証明書 |
投資金額 |
学生1人あたりの投資金額として、少なくとも2千万ドン(土地使用料等を除く)を有すること。 |
施設及び設備 |
|
教育プログラム |
教育目標を有し、国防、国家安全、公共利益等を侵害せず、宗教の流布や歴史の歪曲などをせず、文化・道徳・慣習に悪影響を及ぼさないこと。 |
教師 |
|
規則 |
教育施設の組織及び運営に関する規則を有すること。 |
したがって、既存の日本語学校を買収しようとする場合には、これらの要件を満たすことができるか、確認することが肝要である。