韓国:改正個人情報保護法(2023年9月15日施行)のポイント(下)
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 鈴 木 明 美
弁護士 中 村 彰 男
6 エンフォースメントに関する改正
⑴ 課徴金
改正後のPIPAでは課徴金制度が大幅に拡大・強化されている。これは、刑罰よりも経済的制裁を設ける方が個人情報処理者によるPIPA違反を実質的に抑止可能であるとの考えに基づいており、厳格な課徴金を賦課するという世界的な潮流に合わせた改正であるといえる。
具体的には、個人情報処理者による以下の行為が課徴金の対象となる(法64条の2第1項各号)[1]。
- 個人情報の違法な収集・利用・提供等
- 児童の個人情報を同意なく処理した場合
- センシティブ個人情報を同意なく処理した場合
- 固有識別情報または住民番号の違法な処理
- 委託先に対する監督義務違反
- 仮名加工情報による再識別禁止違反
- 個人情報の違法な国外移転、または国外移転停止命令違反
- 安全管理措置の不備により個人情報の漏えいが生じた場合
また、課徴金の上限額について、改正により、全売上高の3%または20億ウォンに変更された(法64条の2第1項)。ただし、「全売上高」の算定においては、違反行為に関連しない売上高[2]は除くものとすると規定されている(法64条の2第2項)。課徴金が賦課された場合、PIPCはその事実を公表し、あるいは課徴金の賦課を受けた者に公表を命じることができる(法66条)。
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(すずき・あけみ)
1999年慶應義塾大学法学部卒業。2000年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2000年~現在、長島・大野・常松法律事務所勤務。コーポレート、M&A、インフラ・エネルギー・環境、薬事・ヘルスケア、テクノロジー、個人情報保護・プライバシーなどに関する法務アドバイスを行っている。
(なかむら・あきお)
2017年東京大学法学部卒業。2019年東京大学法科大学院修了。2020年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2020年~現在、長島・大野・常松法律事務所勤務。
長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/
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