(第15号)
企業法務よしなしごと
・・・ある企業法務人の蹣跚・・・
平 田 政 和
Ⅱ.Sophomoreのために・・・勉強しよう、「知らない」ということを知ろう(その2)
【1年間に500時間勉強をしなさい】
私は周りの若い人たちに「1年間に500時間勉強をしなさい。」と言ってきた。この言葉を聞くと、全員が直ぐに頭の中で500時間を1年の日数である365で割り、1日当たり1.37時間すなわち1時間30分弱を勉強すればよい、簡単なことだ、と計算し、「はい、分かりました。」と反応する。
この答を聞くと、私は直ぐに、「君は今、割り算をして1日当り1時間30分ほど勉強すればよい、と思っただろう。そして、これくらいの時間はいつでも生み出せる、その時間勉強すればよい、と計算しただろう。だけど、今夜、友人が飲みに行こう、カラオケで騒ごう、と誘いにきたらどうする、その誘いに乗るだろう、そうすれば今日に割り当てた勉強はどうなる。」と聞く。「明日に今日の分を纏めてすればよい、と思っても明日は残業しなければならなくなるかも分からないだろう。」と話す。会社の仕事をきっちりとこなし、上司や友人とのアフター・ファイブの時間も確保しながら勉強するにはどうすればいいか、これを考える必要がある。
私は、仕事を持っている人間が勉強するのは休日しかない、と思っている。ウィークデイは残業もこなし、先輩友人との懇親の場も持つ。そして、休日の朝はいつもと同じように、望むらくは少し早く起き、午前中にしっかりと勉強する。これが基本だと考えている。午後は、家族サービスをするなり趣味の時間に充てるなりすればよい。
もし、土曜日と日曜日の午前中の5時間を勉強に使えば、合計で10時間になる。1年は52週であるから、これで500時間となる。しかし、旅行をしたり朝早くから子供たちと遊ぶ予定があったりすることもある。日曜参観もあるだろう。その場合は勉強の時間は取れない。逆に全く予定のない休日もある。そのときは、それこそ1日中勉強すればよい。また祝日もあり、ちょっとした私用のために有給休暇を取ることもあるだろう。これらの日の余った時間を勉強に当てることも可能である。このようにして500時間を捻出し、勉強に当てるのが、サラリーマンとして最も無理のない方法だと信じている。
ここで大事なことは、休日の朝も出勤する日と同じように、あるいはそれよりも少し早く起きることである。休日だからといってダラダラと午前中はベッドに居るというような生活では1年間に500時間の勉強時間を確保することはできない。休日の朝早くから親が机に向かって勉強している姿を子供たちが目にすることは、子供たちにとっても良い影響を与えるに違いない。
それでは何を勉強するか。テーマはそれぞれが選べばいいが、一つだけ言えることは最初はできるだけ狙いを絞った仕事に関係のある小さなテーマが望ましいということだ。このテーマを500時間かけて勉強する。そうすれば多分その分野でのトップクラスの知識を得ることができるだろう。大げさに言えばその分野での第一人者になっているだろう。後は、それを中心に順次範囲を拡大していけばよい。
(以上)