(第17号)
企業法務よしなしごと
・・・ある企業法務人の蹣跚・・・
平 田 政 和
Ⅱ.Sophomoreのために・・・勉強しよう、「知らない」ということを知ろう(その4)
【英文雑誌を読もう】
私が尊敬している渡辺昇一氏の著作に「クオリティ・ライフの発想」という書物がある。1977年6月に講談社から出版されている。その中の「大いなる蓄積」という小見出しが付された極めて示唆に富んだ文章を紹介したい。
同氏はこの著書で「喫茶店で外国の雑誌類を読む」ことを勧めているが、その前提として、英文雑誌を読むための有効なヒントを書いている。(ここで彼が喫茶店と言っているのは、かつて街中に多くあった静かにクラシック音楽が流れている、座り心地の好いソファのある、落ち着いた喫茶店であり、最近のチェーン店の喫茶店ではない。しかし最近数多く見られるこれらチェーン店の喫茶店も、長時間滞在することについては、寛容であり、多くの若者がパソコンを持ち込んで調べ物をしたり、読書をしたりしており、ここで雑誌を読むことには抵抗がない。)
それは英語の週刊誌(私はタイムを選んだが、もちろんニューズウィークであっても差し支えない)を一つ選び、その中の一つのコラムだけを、知らない単語については語源まで調べて単語帳を作りきっちりと読む。選んだコラムが掲載されていない週があれば、読まなくてよい。これを5年続ける。そうすれば今までやってきたことが無理なく続けられるようになっているだろう。そうすれば読むコラムを増やしてもよいが、同じ調子でもう5年続ければ自然に増えているだろう。このように書いている。
これらの雑誌は、定期購読契約をすれば定期的に送られてくるだけでなく、実に安く手に入る。私自身は単語帳を作ることはせず、どうしても推測がつかないキーとなっている単語やフレーズだけを辞書で調べるという怠け者の読み方だった。このような方法で20年ほどの期間、タイムを定期購読し、Legal欄(Legal欄がない週は見出しで興味を覚えた欄)一つだけを読んだ。目が回るほど忙しかった時期には、一番短い欄を選んだことも懐かしい思い出である。渡辺氏が書いているように最後の頃にはあまり無理をすることなく特集記事を読むまでになった。
長くて一頁ほどのコラムであるからちょっとした空き時間を使って読むこともできる。一週間あれば何度か繰り返して目を通すことも可能である。騙されたと思ってぜひ実行して戴きたい。
英語の勉強が主たる目的であるが、これを続けていくと新しい情報に早く接することができたり、多面的な物の見方に気付かされたりと副次的な効果も大きいことが分かる。
若い友人や部下にこれらのことを何度も言ったが、実行しようと言ってくれた人物は、残念ながら、いなかった。
(以上)