◇SH0127◇中国:独禁法簡易審査 角谷直紀(2014/11/07)

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中国:独禁法簡易審査

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 角 谷 直 紀

1 中国独禁法における事業者集中申告制度

 中国独禁法における事業者集中申告制度(合弁企業の設立、株式取得、合併等の場合に事前に中国商務部に届出し、許可を得なければならない制度)は、何らかの事業を進める際に、必ず考慮しなければならず、またこれによりスケジュール等に大きな狂いが生じることも多い。

 また、同制度は中国商務部の運用上、域外適用されるものとなっており、例えば日本企業と米国企業が米国において中国に全く関係の無い製品の製造に関する合弁事業を行う場合でも、各企業グループ全体の中国での売上高が一定基準を超えている場合には、中国での事業者集中届出が必要となり、この許可を得るために5ヶ月程度の時間を要する。

 この域外適用については、依然として批判が強く、また社内での説明も難しく、「仮に無視したらどうなるのか」、「罰金のみで済むのか」等々のご相談をよく受ける。

2 事業者集中申告における簡易審査制度

 上記の問題の完全な解決とまでは行かないが、特に中国の競争市場になんら影響が無い場合にまで、大変長い待機時間を課すことを防止するために、本年より、事業者集中に関する簡易審査制度の運用が実際に開始された。

 この簡易審査適用の条件は、「事業者集中の簡易案件の適用基準に関する暫定規定」に規定されており、下記のようになっている。例えば、上記の事例では、下記④への該当性を検討することになる。

① 同一の関連市場において、集中に参加する全ての事業者の占める市場占有率の合計が15%を下回ること。

② 集中に参加する事業者について、川上(上流)・川下(下流)の関係が存在する場合、当該川上・川下市場に占める占有率がいずれも25%を下回ること。

③ 集中に参加する事業者が、同一の関連市場におらず、川上・川下の関係も存在しない場合において、取引と関連する各市場に占める占有率がいずれも25%を下回ること。

④ 集中に参加する事業者が中国国外において合弁企業を設立し、合弁企業が中国国内において経済活動に従事しないこと。

⑤ 集中に参加する事業者が国外企業の持分又は資産を買収する場合において、当該国外企業が中国国内において経済活動に従事していないこと。

⑥ 二つ以上の事業者により共同支配される合弁企業が、集中を通じてそのうち一つ又は一つ以上の事業者によって支配されること(合弁形態の変更)。

 さらに、同暫定規定では、例外的に簡易審査適用案件とは認められない場合についても、列挙されており、その中には、「商務部が市場競争に不利な影響をもたらすおそれがあると判断するその他の状況が存在する場合。」という網羅的な規定も入っているが、中国と全く取引関係がなく、中国市場に何らの影響を与えないことが明確である場合において、この例外規定が適用される可能性は低いものと考える。

 なお、簡易審査は自動的に適用されるものではなく、申告者が、簡易審査の申請表に基づき、自ら簡易審査の適用を申請しなければならない。

 申告者が簡易審査適用案件として申請した後、受理前又は受理後に、自らの調査又は第三者からの異議(簡易審査適用案件は受理後にインターネットにて10日間公示されます。)により、商務部が簡易審査案件とすべきではないと判断した場合には、申告者は、通常の案件として改めて届出をしなければならない。

 他方、簡易審査が適用されることになった案件に関しては、実務上、申請書類提出日(書類に不備がないことが前提)から、概ね1ヶ月半以内に許可が下りる。

以上

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