◇SH0300◇タイ:ホテル事業への投資機会の拡大 箕輪俊介(2015/04/27)

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タイ:ホテル事業への投資機会の拡大

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 箕 輪 俊 介

 タイの内閣は、2015年1月13日にホテルとして利用する建物に関する規則を承認した。従来は、多くのホテル(特に小規模のホテル)がホテル業のライセンス取得のために必要な建物許可証を取得できず、違法にホテル事業を行っていたが、この規則の施行により、一部の種類のホテルにおいてライセンス取得が容易になるため、より多くのホテルが法を遵守して運営できるようになるものと考えられている。以下、今回の制度改正について概観する。

1 従来の規制

 タイにおいてホテル事業を行うためには、ホテル法に基づき、ホテル業のライセンスを取得する必要がある。かかるライセンスを取得するためには、ホテル業者は、ホテルとして利用する建物について、ホテルとして利用することについて許可を受けたことを示す許可証(建物許可証)を適法に取得していることを当局に示す必要がある。

 タイの法令上、かかる建物許可証を取得するためには、厳格な要件を充たす必要がある。当該要件は、建築材料や階段や通路の幅、火災時の非常口設置等多岐にわたる。かかる要件は、大規模ホテルの運営を念頭に置いて設定されているため、規模が比較的小さいホテルがこれを充たすことは容易ではない。かかる規制により、現行の法制度では、小規模のホテルにおいては建物許可証の取得が非常に困難となっている。

 このため、バンコクを含むタイ国内6カ所の主要観光地において、大型のホテルを除き、多くのホテルがホテル業のライセンスを取得することなく、違法にホテルを運営している状況である。当局の発表するところによると、違法な運営を行っているホテルは2,000軒近く確認されているという。タイホテル協会によれば、国内のホテルのおよそ20%は違法な形態で運営されており、国内6カ所の主要観光地だけでも、かかる違法なホテルの客室数は16万室を超すとのことである。

2 改正の内容

 かかる状況に鑑み、内閣が今回承認した規則案では、客室数が50室未満のホテルや、宿泊サービス及び飲食サービスのみを提供する形態のホテルについて、建物許可証の取得の要件が緩和される見込みである。これにより、小規模なホテルや簡易なサービスのみを提供するホテルであれば、建物許可証の取得が容易となり、ホテル業のライセンスを取得して適法に運営することが可能となる。

3 改正の影響

 かかる改正により、ホテル運営について政府の管理がより徹底し、安全且つ健全に利用できるホテルが増えるものと考えられている。このことに加えて、海外企業によるホテル買収に向けた動きが活発化するものと予測されている。タイホテル協会の関係者は、制度の改正が公になって以降、海外の投資家からの問い合わせが殺到していることを明らかにしている。近時日系の企業が関与するタイ国内の不動産投資案件が増加している中、今回の改正により日系の企業の投資機会はますます拡大するものと思われる。当該規則は、規則案の承認から6ヶ月後を目処に施行される見通しである。

 

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